水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

トレジャーDNA(3)

2019年09月28日 | 学年だよりなど
2学年だより「トレジャーDNA(3)」


 「適度な運動は健康にいい、さまざまな病気の予防になる」と言われるのは、たんに余分な内臓脂肪が減少するからといった、表面的な理由ではないということだ。


 ~ 「運動をすると、あなたの遺伝子の働きが変わり、健康効果をもたらします。それは一種の適応プロセスであり、そこには“DNAスイッチ”が大きな役割を果たしていることがあきらかになってきました。DNAのレベルで肉体改造されて、自分の体が『健康によい物質を作る高性能の工場』になるようなイメージです。今までこうした“DNAのスイッチ”の変化はそう簡単には起きないと考えられてきましたが、食事や運動などの外部環境に合わせて、驚くほど柔軟に、すばやく遺伝子の働きが変化することがわかりつつあり、そのダイナミックさに驚いています。」 ~


 私たちはよく、「一ヶ月ほど体をしぼって筋肉質になろう」とか、「来週からは早起きして朝勉強しよう」などと考える。心を入れ替えて生活習慣を変えてみようと。
 そしてその決意のほとんどは未遂に終わる。なぜだろう。
 人の本質はそうそう変わるものではないと、心のどこかで思っているからではないか。
 しかし現実には、生活習慣によって、遺伝子レベルの変化をおこすことが可能なのだ。
 体を構成する物質が、分子レベルではものすごい早さで入れ替わっていることも考え合わせると、人間というのは、環境や自分の意志によって、想像以上に変化できる生き物だと言える。


 ~ 私たちの体は、生活習慣やさまざまなストレスなどを含む「環境」の変化にさらされると、その環境に応じた変化、つまり適応していくようにできています。そのための機能がDNAには備わっており、いわば、“主人”である私たちが日々どんな環境で生きているかを敏感に察知して、それに合うように遺伝子の働きを柔軟に、すばやく変化させることができるようなのです。
 体の内なるDNAは、常に外の世界とも会話していて、“DNAのスイッチ”がその“通訳”のような役割を担っているのです。こうしたDNA像は、従来の「生まれ持ったDNAは不変」という静的なイメージとは大きく異なる、新たな世界観とも言うべきなのです。 ~


 たとえば「記憶力アップ」は多くの人の切実な願いだ。
 記憶力アップの遺伝子をオンにするにはどうすればいいか(はやく聴きたいよね?)。
 その方法は、ランニングだという。
 運動によって、脳の細胞のなかのDNAメチル化酵素の数が減少し、年齢とともにクチャクチャに折りたたまれていく遺伝子がほどけはじめ、スイッチがオンになるという。
 「文武両道」の科学的根拠が、まさか遺伝子レベルで解明されつつあるとは、驚くしかない。
 新陳代謝の著しい十代、新しいものに挑戦しやすいみなさんの年代は、その気になりさえすれば、短い期間で全く「別人」になることが可能だ。
 なぜ学ぶのか、なぜ体を鍛えるのか、その答えは簡単ではないか。
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