今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

乳頭温泉3

2008年09月13日 | 温泉

三日目
休暇村をチェックアウトして、妙乃湯に入る。
ここは他の温泉宿と異なり、都会人に好まれそうな今風のしゃれた”旅館”の風情で、ローカルな湯治場風情をあえて残している他の宿との差別化が図られている。
その結果、野趣のありすぎる混浴に抵抗のある女性や若いカップルに人気があるようだ。
他の温泉と区別する高級路線のため、入浴料はここだけが700円(他は500円)。
浴室は木造で、風呂は黄土色の金の湯と透明の銀の湯からなり、川に面した露天は混浴。
洗い場も木の板で立体的に構築され、演出的な味わい。
混浴は昼は男が堂々と入っていけるが、カップルが先に入っていると、逆にこっちが入りづらくなる。

最後はバス停そばの大釜温泉。
田舎の小学校を模した造り。
ここは泉質が同じ3つの浴槽がある(写真)。
それぞれ全部入って、いよいよ温泉の入り納めとなると、あがるのに躊躇がいる。
「もう充分温まったから出よう」という体の要求と「もうちょっと入ってようかな」という気持ちが折り合わない。
これぞ「風呂上りのジレンマ」
このジレンマを解決するには、半ば強制的に思いきる必要がある。
それには、幼い時一緒に入った父と歌った「数え歌」しかない。
1から10まで数えればいい。
本当は10まで数えれば上がるべきなのだが、
数えた後、「おまけのおまけの汽車ポッポ。ポーッとなったら、あがりましょ。プクプッ」
と追加がある。

確か私の幼少時は「おまけのおまけの汽車ポッポ」で終わっていた。
それが、世代を重ねるうちにおまけに尾ひれが追加されてきた。
つまり、数え歌を歌う親子もなかなか潔く終われなかったようだ。
数えに追加されてきたこのセリフ自体が、ジレンマを内包しているのだ。
でも「プクプッ」という歯切れのいいセリフは気持ちのふんぎりをつけやすく
、思いきって風呂から上がった。
そして宿の外に出て、最後の最後「足湯」に両足をつけた。

これで、乳頭温泉郷のすべての湯の風呂(宿泊者専用と女湯を除く)に入った。
つまり、鶴の湯4+打たせ湯、黒湯4、休暇村3、孫六温泉4+打たせ湯、蟹湯3、妙乃湯4、大釜温泉3+足湯、計25槽。
温泉の種類では、含硫黄・ナトリウム・カルシウム塩化物・炭酸水素泉(鶴の湯)、 単純硫化水素泉(黒湯)、単純硫黄泉・ナトリウム炭酸水素塩泉(休暇村)、ラジウム鉱泉(孫六)、 重曹炭酸水素泉(蟹湯)、カルシウム・マグネシウム硫酸塩泉・単純泉(妙乃湯)、 酸性含砒素ナトリウム塩化物硫酸塩泉(大釜)。
次々とかわる泉質に浸った我が肌は、さぞかし落ち着かなかったろう。

さて、この中の風呂で私の印象ベスト3を挙げよう。
第三位は、妙乃湯の金の湯。
入浴料が200円高いだけのことはある。目の前の川を眺めながら入る。眺めが一番いい露天はここ。同じ泉質で内湯の寝湯もいい。

第二位は、鶴の湯の露天風呂。
ここの湯の乳白色は不透明度が随一。しかも底から湧き出ている豪快さ。乳頭温泉に来たらまずは一浴すべき所。ただ昼の入浴者にとって風光明媚さに欠けるのが惜しい(きっと灯に照らされた夜はまた格別の風情だろうな)。

輝く第一位は、蟹湯の木風呂。
数ある露天よりも内湯が一位となった。木の浴室は狭いと息苦しいだけ。ある程度広いのは黒湯も妙乃湯もあるが、浴槽の外側が広く、わざとらしくなく自然な風情を出しているのは蟹湯の木風呂。湯は透明だが、白い湯の花が舞っている。
入っている最中にもう一度入りに来たいと思ったのはここだけ。ただ蟹湯は他の風呂に味わいが乏しいのが残念。

3日間、温泉三昧、入浴づくめで、体にはかえってストレスとなったかもしれないが、気持ち的には、しばらく温泉には行かなくてもOK、と思うくらい堪能した。