今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

正月読書録3:民俗編

2009年01月05日 | 作品・作家評

かつて登山を趣味にしていた私が富士塚・富士講(御嶽講も)に興味をもっていることは本ブログで紹介した。
富士塚に興味をもったのは、登山から遠ざかり、本物の富士(平成18年夏に登山)に行く元気がなくなったので、手近に済まそうと思ったから。
この発想、まさに富士塚を造った江戸市民そのもの。
そんな折り、渡りに船とばかりに2008年暮に出版されたのが何度も紹介しているこれ。
『ご近所の富士山の「謎」』有坂蓉子 講談社

著者は芸大出の美術家で歴史民俗学とは無縁(といっても本では富士講の解説もしてある)。
美術家であるだけに、いわゆる民俗学系ではない独自な見方をしているという自負をもっている。
それは、富士塚を造形的に捉えるという視点。
実際、各地の富士塚をルートとその周囲の配置物の絵で解説している。
これぞまさしく富士の登山案内。
そういう本だから、この本を携えて富士塚に行こう。
実際、江古田富士と下練馬富士に行ってきた(1月3日の記事)。
ただし、この本で紹介されている富士塚は、登り甲斐のあるものだけなので、都内の富士塚を網羅しているわけではない。
それらについては別の富士塚のサイトを参照されたい。
ちなみに著者のサイトでは、自宅用のミニ富士塚を販売している
(これらサイトへの接続は、1月1日の記事内で)。

富士信仰については、専門書にはまだ接していない。
手元にあるのは、北区教育委員会がまとめた『田端富士三峰講調査報告書』。
同委員会ではもっと立派な富士塚”中里富士”についても調査報告書がある。
富士講の実際を知るにはこういう報告書が一番。
あと新田次郎の小説『富士に死す』(文春文庫)は富士講の中興の祖・食行身禄の足跡を描いている。