地元にお住まいの読者の田園パパさんに車を出してもらって、半日を使って那須と黒磯地域の放射線測定をしまくった。
もっとも、この地域はすでに学校や個人の計測値が公開されて、線量マップ化されているので(わが SLOWLYにリンクあり)、
その補助の意味でしかない。
私としては、まず那須岳中腹のできるだけ高い地点から黒磯駅までの高度分布をみたかった。
次に、空気中だけでなく地表に堆積した放射性物質に注目すべきなので、
同一地点での空気中(標準ちとしての地上100cmと栃木県で統一して測られている地上50cm)だけでなく、
地表(指の隙間分としての地上1cm)の値も計測した。
さらに地表面(土、アスファルト)の違いにも留意した。
その結果、既存のデータよりかなり高い値となった。
これに驚き、恐れ、あるいは納得しかねる人も出るだろう。
なので、結果に接する前に、測定誤差の可能性に言及しておく。
私の計測器はアメリカ製の Inspector+というGM(ガイガーミュラー管)式のガイガーカウンタで、
α線・β線・γ線・x線の放射線全域を測るため、γ線のみの計器よりは値が高くでる可能性がある
(ただ飯舘村で最高値を示す長泥地区での計測では、モニタリングポストと同じ値だった)。
またラドンなど原発由来でない自然放射線も一緒にカウントされる(那須温泉にはラドンは含まれないが)。
ということで、もともと高めに出ることをご承知おきねがいたい。
ついでに、この計器の特徴として、センサー部の直径が5cmと大きく、それだけ感度が高い。
また測定精度は0.001μSv/h(1nSv/h)と細かい。
ただ、感度と精度が良すぎるため、空気中の測定においては、微細な気流のゆらぎによって値が安定しにくく、
安定した平均値を出すには、本来なら長い測定時間を要する(地表の測定の場合は、ゆらぎが少なく安定的)。
今回は測定地点を多くするため、一回の測定時間を短くし、その際あえて高めの計測値を採用したので、値の誤差が存在している。
凡例: 地点名(標高m):測定値(地表からの高さ)で表示する。
測定値の単位はμSv/h、地表からの高さはcm、地表面の情報として舗装面(舗)、土面(土)など文字を追加。
100・50cmの測定箇所は、地表の測定箇所の真上である。
測定地点ごとに計器のスイッチをリセットして、前の測定地の影響を排除した。
まず、那須塩原駅から那須温泉へ向かう途上にある「那須高原大橋」がかかる那珂川。
●那珂川の水面(415m):0.23(100)、0.23(50)、0.18(1) と空気中より水面が一番低かった(当然)。
ついでに
●道路から河原の下り口(420m)では、1.2(50)、5.0(1舗) 。さっそく1μSv/hを越えたことに驚いた。大きい谷地形のせいだと思ったが…
ロープウェイ起点の更に上の「峠の茶屋」まで行き、そこから”那須街道”沿いに黒磯へ下った(別荘地に立ち寄り)。週末の割には車の台数が少ないという。
●峠の茶屋駐車場脇(1432m):0.22(100)、0.22(50)、0.32(1土)
●道路脇(900m:殺生石上):0.36(100)、0.30(50)、0.25(1舗) 地表が低かった(たまにはこういうこともあるさ)
●鹿ノ湯の川沿い(834m):0.48(100)、0.7(50)、1.6(1土) 50cmの変動が大きいため下1桁のみ(以下変動が大きい場合同様)、
地表は踏み跡のない所、近くの歩道の地表では0.9(1舗)
●温泉神社(845m):0.49(100)、0.45(50)、0.8(1砂利) :近くの鹿ノ湯の”谷”と値を比較するため計測。
●道路脇(700m:一軒茶屋付近):0.55(100)、0.78(50)、2.0(1舗)
●道路脇(600m:郷土民芸館付近):0.7(100)、0.95(50)、3.1(1舗)
●別荘地(520m):0.5(100)、0.65(50)、1.2(1土)
別荘地は樹木が多く(ただし広葉樹)、谷間でもないので、周囲より値が低めではないかと予想していた。
別荘地の地表を更に2cm掘った場合、値は0.6。また別荘前の車のほとんど通らない道路や駐車場の地表は4
●道路脇(400m:日帰り温泉付近):1.05(100)、1.7(50)、8(1舗)、5.7(1芝):8μSv/hは今回の最高値。
いくらなんでも8は高すぎると思ったが、他にも5を越えた所がいくつか出たので、納得するしかないか。
●那珂川河畔公園内(約300m):0.72(100)、0.8(50)、2.7(1芝)、5.2(1舗)=遊歩道
小さい子に土いじりはさせないほうがよい。
●黒磯駅前(3/17に測定したバス停付近のベンチ):0.9(100)、1.45(50)、3.5(1舗)
3/17のここの値は9.5だったから、1/10に減ったことになる。
ついでに
●黒磯駅近くのヨークベニマル向かいの駐車場内:1.06(100)、1.05(50)、2.4(1雑草)、6.5(1舗)
さらについでに
●矢板(212m)駅1番線ホーム屋外部分:0.4 (100)、0.75(50)、2.2(1舗)、1(1土)
自分の測定経験では、矢板以北が高くなり、以南は関東平野レベルの一般的値。
●すぐ車で出発したのできちんと測らなかったが、那須塩原駅西口外も0.4(100)くらいだった。
以上から、
◎まず最近の公表値と較べると軒並み高い値だった。しかもかなり高い。
公表値を参考にして那須塩原駅での予想は0.2程度(3月17日の1/10の値)だったが、その倍だった。
私の見解では、この地は、放射線的には”福島県”に等しい(”那須”より”白河”以北の公表値に近い。つまり行政は福島県と同等の対応をしてほしい)。
地上100cmと50cmの差は、大局的には誤差の範囲ともいえよう(地上10mとの差なら意味ある)。50cmと地表の差は見過ごせないので、50cmを地表の代わりとしないように。
また地上(空気中)の値が高い所は、地表の値がさらにずっと高いという傾向は、飯舘村や浪江町の傾向と一致。
逆に地上の値が低い所は、地表の値との差も小さい。
◎地表面は、土より舗装面(コンクリやアスファルト)の方が高かったのは従来通り。
土ならセシウム類は地下に浸透するが、硬い路面だと表面に溜まるためだろう。
しかも溜まったきりで、先日の大雨くらいでは流れないようだ(同じ路面の標高の低い方向に流れた可能性はある)。
もっと力強い洗浄が必要なのか。
ただ土でも人が通らない場所(枯れ草が溜まっている)は高い場合(鹿ノ湯)があるのも浪江町と同じ。
軒下など意外に高いかも。
土は2cm掘るだけで値が半減した。
◎標高が高いほど値が低く、高度が下るにつれて値が上昇する傾向にある。
これは放射性物質の高濃度帯(遠方にホットスポットを作る「放射性プルーム」)の浮遊高度がさほど高くないことと、那須岳からのおろし風による移流効果と考えられる。
高濃度帯の高さは、福島県での濃度分布から、私は上空800m程度とふんでいた。
今回の分布では、空気中の値では、800mを境に大きく変化はしていない。
ただ、地表の堆積値に注目すれば、温泉神社の845mと殺生石上の900mの間が上限だろうか。
放射性物質がもっとも多く飛散した3月15日は、午前中は南寄りの風で、原発から那須方面への風向きだった(午後は北西側に拡散)。
つまり那須連山が障壁となり、空気が滞留し、風上側の麓に降り注いだのだ。
◎谷地形などの影響はみられず、標高の影響の方が強い。
那珂川や鹿ノ湯の谷が特に高いというわけではなかった。
とりあえず、以上の結果だけを報告しておく。
もっとも、この地域はすでに学校や個人の計測値が公開されて、線量マップ化されているので(わが SLOWLYにリンクあり)、
その補助の意味でしかない。
私としては、まず那須岳中腹のできるだけ高い地点から黒磯駅までの高度分布をみたかった。
次に、空気中だけでなく地表に堆積した放射性物質に注目すべきなので、
同一地点での空気中(標準ちとしての地上100cmと栃木県で統一して測られている地上50cm)だけでなく、
地表(指の隙間分としての地上1cm)の値も計測した。
さらに地表面(土、アスファルト)の違いにも留意した。
その結果、既存のデータよりかなり高い値となった。
これに驚き、恐れ、あるいは納得しかねる人も出るだろう。
なので、結果に接する前に、測定誤差の可能性に言及しておく。
私の計測器はアメリカ製の Inspector+というGM(ガイガーミュラー管)式のガイガーカウンタで、
α線・β線・γ線・x線の放射線全域を測るため、γ線のみの計器よりは値が高くでる可能性がある
(ただ飯舘村で最高値を示す長泥地区での計測では、モニタリングポストと同じ値だった)。
またラドンなど原発由来でない自然放射線も一緒にカウントされる(那須温泉にはラドンは含まれないが)。
ということで、もともと高めに出ることをご承知おきねがいたい。
ついでに、この計器の特徴として、センサー部の直径が5cmと大きく、それだけ感度が高い。
また測定精度は0.001μSv/h(1nSv/h)と細かい。
ただ、感度と精度が良すぎるため、空気中の測定においては、微細な気流のゆらぎによって値が安定しにくく、
安定した平均値を出すには、本来なら長い測定時間を要する(地表の測定の場合は、ゆらぎが少なく安定的)。
今回は測定地点を多くするため、一回の測定時間を短くし、その際あえて高めの計測値を採用したので、値の誤差が存在している。
凡例: 地点名(標高m):測定値(地表からの高さ)で表示する。
測定値の単位はμSv/h、地表からの高さはcm、地表面の情報として舗装面(舗)、土面(土)など文字を追加。
100・50cmの測定箇所は、地表の測定箇所の真上である。
測定地点ごとに計器のスイッチをリセットして、前の測定地の影響を排除した。
まず、那須塩原駅から那須温泉へ向かう途上にある「那須高原大橋」がかかる那珂川。
●那珂川の水面(415m):0.23(100)、0.23(50)、0.18(1) と空気中より水面が一番低かった(当然)。
ついでに
●道路から河原の下り口(420m)では、1.2(50)、5.0(1舗) 。さっそく1μSv/hを越えたことに驚いた。大きい谷地形のせいだと思ったが…
ロープウェイ起点の更に上の「峠の茶屋」まで行き、そこから”那須街道”沿いに黒磯へ下った(別荘地に立ち寄り)。週末の割には車の台数が少ないという。
●峠の茶屋駐車場脇(1432m):0.22(100)、0.22(50)、0.32(1土)
●道路脇(900m:殺生石上):0.36(100)、0.30(50)、0.25(1舗) 地表が低かった(たまにはこういうこともあるさ)
●鹿ノ湯の川沿い(834m):0.48(100)、0.7(50)、1.6(1土) 50cmの変動が大きいため下1桁のみ(以下変動が大きい場合同様)、
地表は踏み跡のない所、近くの歩道の地表では0.9(1舗)
●温泉神社(845m):0.49(100)、0.45(50)、0.8(1砂利) :近くの鹿ノ湯の”谷”と値を比較するため計測。
●道路脇(700m:一軒茶屋付近):0.55(100)、0.78(50)、2.0(1舗)
●道路脇(600m:郷土民芸館付近):0.7(100)、0.95(50)、3.1(1舗)
●別荘地(520m):0.5(100)、0.65(50)、1.2(1土)
別荘地は樹木が多く(ただし広葉樹)、谷間でもないので、周囲より値が低めではないかと予想していた。
別荘地の地表を更に2cm掘った場合、値は0.6。また別荘前の車のほとんど通らない道路や駐車場の地表は4
●道路脇(400m:日帰り温泉付近):1.05(100)、1.7(50)、8(1舗)、5.7(1芝):8μSv/hは今回の最高値。
いくらなんでも8は高すぎると思ったが、他にも5を越えた所がいくつか出たので、納得するしかないか。
●那珂川河畔公園内(約300m):0.72(100)、0.8(50)、2.7(1芝)、5.2(1舗)=遊歩道
小さい子に土いじりはさせないほうがよい。
●黒磯駅前(3/17に測定したバス停付近のベンチ):0.9(100)、1.45(50)、3.5(1舗)
3/17のここの値は9.5だったから、1/10に減ったことになる。
ついでに
●黒磯駅近くのヨークベニマル向かいの駐車場内:1.06(100)、1.05(50)、2.4(1雑草)、6.5(1舗)
さらについでに
●矢板(212m)駅1番線ホーム屋外部分:0.4 (100)、0.75(50)、2.2(1舗)、1(1土)
自分の測定経験では、矢板以北が高くなり、以南は関東平野レベルの一般的値。
●すぐ車で出発したのできちんと測らなかったが、那須塩原駅西口外も0.4(100)くらいだった。
以上から、
◎まず最近の公表値と較べると軒並み高い値だった。しかもかなり高い。
公表値を参考にして那須塩原駅での予想は0.2程度(3月17日の1/10の値)だったが、その倍だった。
私の見解では、この地は、放射線的には”福島県”に等しい(”那須”より”白河”以北の公表値に近い。つまり行政は福島県と同等の対応をしてほしい)。
地上100cmと50cmの差は、大局的には誤差の範囲ともいえよう(地上10mとの差なら意味ある)。50cmと地表の差は見過ごせないので、50cmを地表の代わりとしないように。
また地上(空気中)の値が高い所は、地表の値がさらにずっと高いという傾向は、飯舘村や浪江町の傾向と一致。
逆に地上の値が低い所は、地表の値との差も小さい。
◎地表面は、土より舗装面(コンクリやアスファルト)の方が高かったのは従来通り。
土ならセシウム類は地下に浸透するが、硬い路面だと表面に溜まるためだろう。
しかも溜まったきりで、先日の大雨くらいでは流れないようだ(同じ路面の標高の低い方向に流れた可能性はある)。
もっと力強い洗浄が必要なのか。
ただ土でも人が通らない場所(枯れ草が溜まっている)は高い場合(鹿ノ湯)があるのも浪江町と同じ。
軒下など意外に高いかも。
土は2cm掘るだけで値が半減した。
◎標高が高いほど値が低く、高度が下るにつれて値が上昇する傾向にある。
これは放射性物質の高濃度帯(遠方にホットスポットを作る「放射性プルーム」)の浮遊高度がさほど高くないことと、那須岳からのおろし風による移流効果と考えられる。
高濃度帯の高さは、福島県での濃度分布から、私は上空800m程度とふんでいた。
今回の分布では、空気中の値では、800mを境に大きく変化はしていない。
ただ、地表の堆積値に注目すれば、温泉神社の845mと殺生石上の900mの間が上限だろうか。
放射性物質がもっとも多く飛散した3月15日は、午前中は南寄りの風で、原発から那須方面への風向きだった(午後は北西側に拡散)。
つまり那須連山が障壁となり、空気が滞留し、風上側の麓に降り注いだのだ。
◎谷地形などの影響はみられず、標高の影響の方が強い。
那珂川や鹿ノ湯の谷が特に高いというわけではなかった。
とりあえず、以上の結果だけを報告しておく。