冷房には扇風機やサーキュレーターの併用がいいとさかんに言われている。
これは間違いだ。
上暖・下冷の安定した成層状態を撹拌して室内の温度を均一化することは、
暖房にのみ効果があり、冷房では逆効果である。
今、空間の容積を2倍にした場合、その空間内を一定温度に変化させるのに要するエネルギー量はどれくらい変化するか?
「2倍増える」と答えた人なら、
室内の居住空間の下半分だけを冷やした場合と人の頭上の天井側の上半分も余計に冷やした場合の消費エネルギー量の違いがわかるはず。
実は2倍ではすまないかもしれない。
なぜなら下の冷気をサーキュレーターで力づくで上にもっていくのに余分のエネルギーが加わるから。
サーキュレーターを勧める論拠というのは、
下の冷えた空気をエアコンのある上にもってくる事で、エアコンが感知する温度が下るからだという。
これって、エアコンのリモコンで温度設定ができることを知らない論理だ。
最初から上半分の温度に対応した高めの温度設定をすれば、エアコンは最小限の稼働で最適な冷気を出してくれる。
実際のデータを示そう。
帰宅したら、室内が35℃になっていた。
私は頭の上にあるエアコンの冷房の温度設定を30℃にする。
冷房だから、何もエアコンから30℃の暖気が出てくるわけではない。
我が部屋のエアコン(三菱の「霧ケ峰」)から出てくる風の温度は18℃。
そして数分後、エアコンと同じ高さの気温は正しく30℃をキープし、
私が坐っている所では27℃(夏の至適温度)に下った。
エアコンにとっては命令通り、5℃下げる仕事をしたつもりだろうが、
部屋の下半分では更に3℃も余分に下ってしまった。
これは冷気が下半分に溜ったためだ(室内のクールスポット化!)。
ここでサーキュレーターで撹拌したら、せっかくのクールスポットが台無しになる。
☞冷房時(サーキュレーター無し)の温度分布をサーモグラフィで示した記事
涼しい場所に坐っている私には、天井近くが30℃であることは、
その高さに設置してある温度計によってしか知るよしがない。
なぜなら生活空間ではないからだ。
もしまだ暑ければ、設定温度をさらに1℃下げるだけ。
とにかく、自分のいない空間(部屋)に冷房とサーキュレーターをつけっ放しにする人は、普通はいないと思う。
それをあえて勧めるってどういうつもりなんだろう。
ちなみに、頭上のエアコンでの暖房の時は、私もこのときとばかりサーキュレーターをつけっ放しにする。
→その後、「暖房でもサーキュレーター無しにできた」。
※サーキュレーターの可否は室内環境によって異なり、私も別の部屋では併用している。☞「冷房にサーキュレーターを併用している」の記事へ
☞この話のまとめになる記事「エアコンで効率的な冷房法」へ