私が一番楽しい気持ちになれる絵は、ルノワールの「ムーラン・ド・
ラ・ギャレットの舞踏会」(以下、ムーラン)なのだが、本物は見ていない。
その絵が日本で初公開だというので(8/22まで)、国立新美術館に行った(右図はそのチラシ)。
上野の美術館・博物館は月曜休館なので土日の混雑大渋滞覚悟でないと行けないが、こちらは月曜開館しているのがありがたい。
もともとルノワールの絵は見る人を幸福するので人気が高いが、とりわけ「ムーラン」は幸福にする度合が高い。
この絵に直接対面できるなんて、一生に一度の機会だろう。
そしてそれが混雑していない平日に見れるのだからうれしさも倍増。
さて、「ルノワール展」 に音声ガイドをつけて入る。
壁に1つだけ展示された「ムーラン」の前は、それなりの人だかりだが、その列に加わって間近で見る事ができる。
見入っていると、絵の中の雑踏の一員になってしまって、身動きができない。
ずっとここに居たい。
見たい絵から移動する決断にいつも苦しむ。
なにしろ、他にも見たい絵がならんでいる。
今回の展示では、「ムーラン」の他に「陽光のなかの裸婦」(彼の印象派宣言)、「読書する少女」「ぶらんこ」「田舎のダンス」(彼の妻になる女性の笑顔)、「都会のダンス」「ピアノを弾く少女たち」「浴女たち」(遺作)など有名な作品も一緒に見れる。
ルノワールの描く女性たちの健康的な美しさ(特に手・腕の丸み)がいい。
解釈も分析も物語も不要で、ただ見ればいい。
それだけで幸せな気持ちになるのがルノワールの絵だ。
1つ1つの絵と対面した後、そのまま出口に向かわず、
最後にもう一度来た道をもどり、動線から離れた通路の中央で展示を風景として一括して視野に入れて出口に向かう。
この行為は複数の絵画を一度に呑み込むように視野に入れるという、美術館ならではの贅沢な行為。
ミュージアム・ショップに売っている図録は、ハードカバーでその割りに安く、コレクションになる。
今夜をこれをじっくり読むとしよう。