今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

矢作川を遡る2:豊田から茶臼山

2016年05月08日 | 

車で矢作川を遡る、遡上ドライブの二日目。

宿「フォレスタヒルズ」を後にして、矢作川を北上し、豊田市の街中に入り、
対岸に渡って少し南下して「水源公園」に行く。
水源といってもこれは「明治用水」の水源。
すなわち、矢作川は明治用水という人工の川の源として、西三河の流域外の人たちにも恩恵をもたらしているのだ。
水源公園には「水源神社」があり、奉納した石碑から、安城や岡崎、西尾などの下流の人たちの崇敬を受けていることがわかる。
矢作川の方では、明治用水と分けるための巨大な堰堤がある(写真)。
明治用水側では、天然鮎が遡上しているか地元の人たちが調べていた。 

さてここから豊田市の市街地を縦断するのだが、矢作川右岸の自然堤防上の道路を通れば、信号がほとんどなく、市民がサッカーに興じている川原や豊田市のシンボル・豊田大橋や豊田スタジアムを右に見ての、気持ちいい道で、市街地は難なく通り抜ける。

堤防上の快走路が終って国道153号に合流するものの、矢作川に近寄りたいのであえて再び堤防に沿った脇道に入り、また153号と合流して平戸橋に出る。
この平戸橋から先は、茶臼山などの奥三河の旅によく通る道。
つまり矢作川沿いの初めて通る道はこれで終った。 

平戸橋からは市街地から出て、急に山がちの風景になる。
そして下流からみて最初の渓谷である「勘八峡」側の道に入る。

駅舎跡のある西広瀬からは三河高原の山地に入り、矢作川も自然の風景に溶け込む。
山に挟まれた川沿いの県道11号は、集落が所々に点在するだけで信号もなく快走が続く。
日曜なので、レーシングカーのような走り専用の車が次々とすれ違っていく。
矢作川沿いのこの道は格好のドライブルートのようだ。 

隠里」という愛知最奥の集落を過ぎて、岐阜県に入るとさらに山が深くなり、北上していた矢作川の遡行は東に向きを変え、ダムが続く。
第一ダムはたいしたことないが、第二ダムは堰堤が巨大で(写真)、奥に続く「奥矢作湖」も大きい。
湖畔の道路はカーブの連続なので3速のままで走る(それまで5速だったのに)。

湖畔にある旧串原村(現・恵那市)の「郷土博物館」に立寄ると、 矢作ダム建設のため湖底に沈んだ集落の家屋や生活用具、さらには路傍の石仏などが移設され、当時の集落の人々の写真集に見入った。
当時の矢作川はいかだで材木を下流に流していたようだ。

奥矢作湖が尽きて、さらに上流に向うには、すれ違いのできない細い一本道(県道20号)を進む。
矢作川は川原の石が大きくなり上流の様相になっている。
ふたたび国道153号(三州街道)に合流して、再び愛知県豊田市に入るも、ほどなく長野県根羽村に入る。
そう矢作川の源流は長野県内なのだ。

この153号は先月の月川温泉の帰りにも通ったばかり。
その時も立寄った「月ケ瀬の大杉」に立寄る。
今回は「計測マン」の装備で、駐車場にある亀甲岩と大杉周辺を測る。
すると大杉の周囲に張ってあるシュロの縄の一部がやたらマイナスの電位が高かった(普通は-0.1kVだが、ここは-6.1kV)。
周囲に電気はもちろん金属もない。 
「イヤシロチ」理論によれば、マイナスの電位が高いところは植物の生育がいいという。
確かに信州一の大杉が健在だ。

根羽の矢作川には、大昔の噴火口跡の露頭が発見されており、今では対岸の露頭が見える所に解説板が設置されている。
茶臼山を含む奥三河からこのへんまでは、大昔の火山だったのだ。
もちろん、矢作川は後からできた。 

さて153号から別れて、いよいよ源頭の山・茶臼山への長い登坂路となる(といっても通い慣れた道)。
いつもは通らない川沿いの旧道を通るのは今回の旅のテーマのためだが、この部分の矢作川は「古戸名渓谷」と名が付いている名勝で、上流からみて最初の渓谷なのだ(写真:左隅に我が車)。

そこを過ぎてどんどん上るにつれ、残念ながら道は川から離れていく。
そして茶臼山に達し、信州側の「カエル館」を過ぎて眺めのいい駐車場に車を停める。

ここの脇にある歩道の先が、今回の旅のゴール、矢作川の源流(水源)なのだ。 
もっとも、茶臼山には年2回のペースで来ているので、今まで幾度もこの場所に来ていた。
でも今回は、海抜0mの河口から約1300mのここにやってきたのだ。

この水源に訪れるのに一番訪れ甲斐のあるルートでやってきた今回は格別の気分。

さて、ゴールの水源に達したので儀式をしたい。
まず、いつものように竹の樋から出ている(初めて地上に出ている)、矢作川の最初の水を手ですくって飲む。
いつもながらおいしい。
気づくと、水源の左上に祠があり、賽銭箱まである(写真中央やや左上)。
根羽で食料を調達したので手ごろなコインがなく、わずかながら5円玉を入れ、参拝の儀式を行なう。
それと、他に誰もいないのを幸い、持参したドローン(マルチコプター)を水源の上まで飛ばして撮影してみた。
あと今更ながら、水質検査もしてみた。
酸化還元電位は291mVでまぁ還元水的。
全溶存量は48ppmしかなく、純水に近い(ミネラル成分がない)。 

今夜の宿はこの山上にある「休暇村茶臼山高原」。
夕食の時、目的達成を祝して、奥三河の幻の名酒『蓬莱泉・空』をグラスで注文した(いつもなら手が出せない料金なのだが、今日は特別)。
宿の夕食にはただでさえ日本酒が合うのだが、今日の旨さは格別だ。