今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

陰陽論☯の再構成へ向けて

2019年03月26日 | パワー・スピリチュアル

究極の存在である”太極”が、陰または陽という排反的性質を帯びて動的に作動しているのがこの世界(人体〜宇宙)である、という陰陽論☯は、
素粒子にかかる4つの力の1つ電磁気力に対応できるくらいの普遍性をもっている。

たとえば、量子論の泰斗N.ボーアは陰陽論が大好きだったという。
この陰陽論は、現代の科学的思考で再構成することによって、
古代的前科学思想から脱却すべきであるし、脱却できる可能性をもっている。

ちなみに陰陽論を補完するために漢代あたりにくっつけられた五行思想は、
ギリシャやインドにも共通する古代の素朴な(肉眼レベルの)”元素論”の1つだが、
近代科学以降の分子論・原子論そして素粒子論の前では元素論としての生命は絶たれているので、
陰陽論の価値を低めないためにも分離し捨て去るべきである。

実際、たまたま5つある物以外については”牽強付会”でしかない五行思想は、
近世的合理思想に達した江戸時代の儒学者たちに忌避され、
また心身二元でなく気(陰陽)一元論を基礎におく現代中国医学においても、
五行的作用は臨床的証拠に合わないとして採用されていない
(五臓論において辛うじて伝統的位置をたもっているが、
実質的な作用、たとえば相生・相克は認められていない)。

科学をはじめとする学問は、理論的あるいは実証的批判によって、
誤った過去に執着することなく理論を改訂していくべきものである。
陰陽論は、過去の教典に無批判に準拠する宗教(信仰)ではなく、
この世(宇宙)の原理を説明するとして、人間の知性・知見とともに進歩すべきものである。

これが私の陰陽論に対するスタンスだ。

このスタンスに立って、陰陽論の再構成を試みていく。
陰陽論(気一元論)こそ、近代心理学が乗り越えられない”心身二元論”を超克できるものと期待している。

陰陽論の原理は次の2つに集約される。
1つは、陰と陽との相互性・相対性である。
陰と陽とは単純な対立関係ではなく、相互作用をし、和合し、互いに転化する
(陰と陽は性質の違いであって、組成はともに太極である)。
陰陽どちらかが勝つのではなく、均衡(調和)が志向される。
すなわち動的平衡作用をもつ。
これは陽の”動”と陰の”静”とが高次で均衡している状態である。

2つは、陰陽の2進法的重層性である。
陰陽論は世界を2分割しておしまいの素朴な2元論ではない。
世界は陰陽のペアで重層的に構成されているとみなす。
逆にいえば、複雑な組成を陰陽のビット(bit)で分解できる。

古典的な説明をすれば、太極がまずは陰陽の二気に分化し(1bit)、
二気にさらに1bit追加して四象(2bit)となり、
さらに1bit追加して八卦(3bit)となる。
すなわち3bit(陰陽3層)で、世界を2の3乗=8(乾兌離震巽坎艮坤)で説明できる。
さらにこの八卦を二重化して、6bit(64通り:乾為天〜坤為地)で世界を動的に説明するのが「易」(変化の書)である。

この原理でいけば、bit数をn個に増やせば、2のn乗の要素で世界を説明できる。
現行のノイマン型コンピュータと同じ原理である。
これが陰陽論の論理構造だ。
この論理構造に上述した陰陽のダイナミズムが加わることで、事物の生成・変容を重層的に説明できる。

「生気象学における陰陽論☯」