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今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

生気象学における陰陽論☯:気圧の陰陽化

2019年03月28日 | パワー・スピリチュアル

陰陽論の再構成の試みとして、まずは既存の陰陽論では言及されていない領域を、
陰陽論で説明可能にしてみたい(いずれ、伝統的陰陽論の限界に達し、それを突破する必要がある)。

私の職場に気象現象で体調をくずす同僚がいて、10分ごとの気象観測をしている私(気象予報士なので)に、
本人の体調と気象実況との関連性について、相談を受けている。
その同僚の症状をみると、吐き気と下痢がいっしょにあったりと、中国医学でいう”津液”の代謝異常といえることから、
陰陽論に基づいている中国医学の解釈が可能な気がしている。

ただし、伝統的陰陽論は、大気(一番身近な外気)の温熱や乾湿を”外邪”としていても、気圧は対象となっていない。
それは古代では気圧という大気現象が皮膚感覚的にも知られていなかったからだが、
気象現象の基礎情報である(地上)天気図が、等圧線という気圧データで構成されているように、
気圧こそが気象現象の大もとであり、大気の挙動を端的に表したものといえる。

そこで私なりに、気圧現象を陰陽で解釈してみたい。

気圧(特定地点における空気柱の重さ)の変化は、大気の鉛直方向の変動である(水平方向の変動は風)。
すなわち気圧変動は大気空間における”(大)”の上昇と下降の運動を意味する。

上昇運動は陽であるから、気の上昇現象である低気圧は陽となる。
下降運動は陰であるから、気の下降現象である高気圧は陰となる。
また実際の低気圧は、気が”激しく”上昇する擾乱(強風、悪天候)なので、である点でも陽である。
それに対し高気圧は、”ゆっくり静か”に下降するので、である点でも陰である。

一方、生気象学では、低気圧が接近すると交感神経が興奮するため、体調不良になりがちだという
※:渡邊章範『その痛みやモヤモヤは「気象病」が原因だった』青春出版社 2015
そもそも人間の自律神経を構成する交感神経と副交感神経は、拮抗的に作用し、前者は生体を的、後者は的状態にもっていくことから、
交感神経は陽副交感神経は陰と対応できる(このように人体の生理作用も陰陽で分類できる。他に呼気と吸気、動脈と静脈など)。

中国医学では、体外の外気が体内の内気に作用するという(「易」も同様のメカニズムによる)。
たとえば、風の邪気が体内に侵入し、内気をかく乱すると、いわゆる”風邪”となる。
気圧は外気の現象であり、自律神経の活動は内気の現象である。 

ということで、低気圧の接近は陽の活発化であり、それに呼応して体内の陽気(交感神経)が亢進されるといえる。
逆に高気圧(陰)が接近すると、それに呼応して体内の陰(副交感神経)が優勢になり、落ち着く。

ただ、気圧だけが大気の鉛直運動ではない。
たとえば、昼と夜、すなわち太陽が天空に在るときと無いときはすでに陽と陰に対応されている(もちろん昼=陽、夜=陰)。
気象的にも、昼は太陽光で地面が熱せられて上昇気流が発生するので陽となり、
夜は地面が冷えるため気流が安定(上が軽く、下が重い)して(上昇気流がなくなり)陰となる。
となると、大気の鉛直運動としての陰陽は、気圧と昼夜の組み合わせの2bit(四象)となる。

それと生気象学での交感神経の作用を組み合わせることができる。
自律神経の活動に日周期があり、昼は交感神経優位(陽)、夜は副交感神経優位(陰)となり、まさに外気と内気の陰陽が対応している。
この定常的対応が基本であるが、これに気圧の変動が加わることによって、陰陽のバランスが崩れることになる。 

外気側の四象を地天の順で左右(縦書きなら下上)に記すと、地上の気圧・天空の順となり、以下の4パターンになる。
陽陽(老陽):低気圧・昼
陽陰(少※陰):低気圧・夜
陰陽(少※陽):高気圧・昼
陰陰(老陰):高気圧・夜
※小とも書くが、老に対しては少が適。

この外気の四象による内気(自律神経)への影響を考えると、
昼間に低気圧が接近する場合(老陽)、陽が重なるため、交感神経が過剰に興奮しやすくなる。
いわゆる自律神経失調症の症状が出やすい。
逆に、高気圧が夜に接近する場合(老陰)は、陰が重なるため、副交感神経が過剰に興奮しやすくなる。
身体的には内臓活動の亢進、心理的にはやる気がでず陰鬱になるおそれがある。
低気圧下での夜(少陰)は、気持ちが落ち着かない部分があるが、それを抑制する作用が働く。
陰陽のバランスがとれて安定しているように見えるが、動くべき時に動かないという悪い意味の安定ともいえる。
というのも低気圧の接近は気象災害をもたらす擾乱であるため、陰が災いして逃げ遅れるおそれがあるためだ。
高気圧下での昼は(少陽)、晴天で気分がいい状態で、陽気になるが落ち着いている。
陰陽のバランスがとれたよい状態といえる。

ただし多くの人は、気圧変化に対する感受性はほとんどないので、このような反応の差異は自覚されにくいだろう。

その一方で、上の同僚のように気圧の変化を感受する人もいる。
この違いは、人側の要因ということになる。