関西電力の大飯原発の再稼働を福井地裁は拒否した。
今のままでは、安全が保障されないという理由。
確かに、関電側の安全策の基準となる「基準地震動」という発想は、防災上問題あるといえる。
過去のデータから現実的に起こりそうな被害予想として作成された、
いわゆる「ハザードマップ」は、行政や住民の防災の基準として使われている。
予算の効率性から、それはそれなりに合理性がある。
だが、本来の防災は、起こりうる蓋然性の高さではなく、起こりうる最大値を基準にすべきである。
なぜなら、未来は、過去の単純な再現という確証はないこと(最大値はこれからやってくるかもしれない)。
そして、防災システムの稼働がその時100%うまくいく確証もないこと。
実際に、東北地方太平洋沖地震と福島第一原発の事故はそれを現実にした。
原子力災害の時間・空間的影響力を考えるなら、行政や家庭の防災と同列であってはならない。
すなわち、”想定外”と”フェイル・セーフ”を考慮した防災システムでなくてはならない。
私個人は、原発再稼働そのものに反対ではないが、
日本の電力会社は、福一の事故を本気で反省しているのか疑うことがよくある(無かったことにしたいのではないか)。
「安全基準」をできるだけ低くしようとし、みずから「安全神話」に陥りがちな電力会社側の態度には危惧を禁じえない。