今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

地上天気図ではわからない

2012年11月05日 | お天気
中国万里の長城で日本人観光客の遭難事故があった。
場所は、標高2000m級の山岳地帯。
当日は、北京など季節外れの大雪。

事前にわかっていたら、強行しなかったろう。
問題は、事前にわかるすべ。

今回の大雪、季節によっては異なる現象になるので、
一般に「擾乱(じょうらん)」という。
この擾乱、地上天気図だけでは絶対に予測できない。

まず、事故後の本日の天気図を掲載する(右図)。
渤海湾付近に1012hPaの小さな低気圧がある。
その東の1014hPaの低気圧には前線があるので、
こちらはそれなりに影響がありそうだが、
1012hPaの低気圧は、前線もないのでたいしたことなさそう。

ところが上空300hPaと500hPaの高層天気図をみてほしい(図:原図はもっと大きい)。

渤海湾の上に、巨大な低気圧がある。
実は地上の1012hPaの低気圧は、上空の巨大な低気圧の痕跡にすぎない。

この上空の強い低気圧を「寒冷渦」(かんれいうず)という。
中心に寒気核があり、かなり閉じた円になっているため。

この寒冷渦があると、地上は大荒れになることがわかっている
(寒冷渦が東進して、日本も荒れた天気になるぞ)。
ただ、「わかっている」のは、気象関係者だけ。
だから、天気予報では荒天とされるはずだが、
地上天気図は読めるが高層天気図は読めない登山愛好家などは、
ちょっと天気が悪化する程度でたいしたことなかろうと自分で判断してしまう
(今回の遭難者はツアーなので、ツアー側が判断すべき)。

高層天気図は、ネットのサイトで誰でも見ることができる。
iOSアプリでいえば「気象天気図」がお勧め。
なので、誰でも、知識さえあれば、判断することができる。
機会あるごとに、高層天気図の重要性を訴えていきたい。

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