霊の研究に対する私のスタンスは、経験に基づく現象学的探求であって、
頭でこしらえた”物語”、すなわち既存の宗教的・神話的言説には目もくれず、
霊現象についての経験のみをデータとする。
となると、霊界に幾度も往復してその経験を記したという18世紀のスウェーデン人、エマヌエル・スウェーデンボルグ※(右肖像(Wikiより))を無視できない。※:現地読みではエマヌエル・スヴェーデンボリ
それどころか、霊界についての最も緻密な記録として、最も重要な資料になるくらいだ(霊界の挿絵も描いている)。→スウェーデンボルグという先駆者
ただ今から300年前の人なので、一般論として頭の中が科学よりは宗教に偏っている可能性があり、言説の信憑性が気に掛かる。
確かに彼の父はスウェーデン教会の大司教だが、彼自身は、科学者として数々(ノーベル賞級)の業績を残しており、とりわけ大脳皮質の機能の研究については先駆的で、現代で言えば第一級の脳科学者だ(心は脳に宿るという発想から出発)。
その彼が、自身の後半生を霊界についての著作に捧げたのは、彼自身の長く深い霊界経験による。
その経験によると、霊界は既存のキリスト教が語っているもの(=物語)とは全く異なっており、そのため、人が死後に天国か地獄に分かれて行く本当の理由を人々に知らしめる使命を感じたからだ(この話題は次回の記事で)。
その理由と結果的には繋がるのだが、私はスピリチュアルの世界に接近したことで、自分の生き方のスタンスが変化し始めている。
それは晩年を迎えた者にとっての「生きる目的」の再構成の問題である。
まず、若い時のような「現世での目標達成」ではなくなる(あるものは達成し、あるものは諦めた)。
その結果、現世しか視野にないと、生きる目的を喪失しそうになるのだが、
霊的現象と関わった結果、生きる目的が、死後を見越した「霊的成長(霊格の向上)」に固まってきた。
そしてスウェーデンボルグの霊界での体験談を読むと、現世の人間の生き方が死後の霊格を左右することがわかった※(これは単純な業(カルマ)の論理ではない)。
※霊は生前も死後も人間の本体であり、生前は肉体が付与しているが、死後は霊だけとなる。
今後、スウェーデンボルグの体験談をベースに、現代の霊能者たちの言説を交えて、霊現象についての考察を進めていきたい。
ただし、私は霊界の存在を信じているわけではない。
先入観としての信不信を保留して、虚心に現象に立ち向かってみるのだ。
これは「計測マン」としての態度と同じ。