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日暮らし(上・下) 宮部みゆき

シリーズの第2作目。第3作目の刊行に合わせて、こちらも平積みになっていたもの。第1作目と同じく上下2冊巻で、上巻の前半が独立した感じの短編、上巻の後半と下巻が長編という構成も第1作と同じ。しかも最初方の短編と最後の長編が次第に1つの話に融合して全体で大きなミステリーになっていくという凝った作りも第1作と一緒だ。こういう複雑な構成の物語を破綻なく、同じ舞台・登場人物で2つも考えるというのは本当にすごいと思う。ミステリーの要素は、第1作目の方が面白かったように思うが、第1作で慣れ親しんだ登場人物がでてきて活躍するのが楽しいので、読んでいて気分が良いのはむしろ本作の方だった。著者の作品では、「孤宿の人」もそうだったが、えっと思うような人物が途中で死んでしまったり、殺されてしまったりする。本作もそうなのだが、どうもそのせいか殺された人物が「本当は生きているのではないか」という思いがしてしまい、それが謎解きを考えることの妨げになってしまった。(「日暮らし(上・下)」 宮部みゆき、講談社文庫)

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