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名古屋~地名の由来を歩く 谷川彰英
横浜の良く行く本屋さんで見つけた本書。昨年まで名古屋にいて、今でも月に2,3回名古屋に行く仕事をしているので、読んでみることにした。本書は、地名の由来や変わった地名を紹介しただけの単純な薀蓄本ではなく、「紀行文」の要素もあり、地名とは関係ない歴史の記述もありで、読んでいて面白い本だ。地名を「調べてみよう」「訪ねてみよう」ということを手がかりの1つにはしているが、あまり地名そのものには拘っていない感じがするし、地名の由来もそれほど突っ込んで調べるのではなく、「だいたいこんな感じです」とあっさりしているのが良い。資料を漁り、緻密な実証を積み重ねる「郷土歴史研究家」とは明らかに一線を画す視線が、普通の読者にはちょうどよいし、名古屋の人が読むと物足りないかもしれないが、外部の人間にはこれくらいが本当にちょうど良い感じだ。本書を読んでいくつか日ごろの疑問が解消したのも嬉しい。「愛知県」の名前の由来は「フィロ・ソフィー」ではなかった。地下鉄東山線の中村公園にある「巨大な鳥居」の正体が判った。熱田神宮と一宮市の関係が良く判った。薀蓄というほどではないが、知っていて損のない知識だと思う。名古屋の人は郷土愛が強い(私が今住んでいる横浜もなかなかのものだが名古屋の人には及ばないかも)。本書は、名古屋のことをべたべたに褒めてあるので、名古屋の人は、これを読んでますます名古屋が好きになるんだろうな、と思う。(「名古屋~地名の由来を歩く」 谷川彰英、ベスト新書)
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