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ペテロの葬列 宮部みゆき

読み進めていってもなかなか事件の本質が見えてこない。そんなもどかしさを抱えながら読んでいくと徐々に色々なことが見えてくる。そんなプロセスを楽しむ1冊だ。突然主人公が巻き込まれたバスジャック事件の背景にある社会的事件と犯人の動機、謎が主人公の思考とともに少しずつ解明されていくので意外性は強く感じられないが、振り返ってみるとこんなところまできてしまったのかという感銘を受ける。稀代のストーリーテラーと呼ばれる著者のすごさが再認識できる1冊だ。書評などをみると「次の展開・続編が待たれる」とあって何のことかしらと思っていたら、事件解決後に事件とは直接関係ない驚くような展開が待っていて、この先主人公がどうなるのか、大変気になるところではある。シリーズものの場合、こんな引っ張り方があるのだなぁ、と感心してしまった。(「ペテロの葬列」 宮部みゆき、集英社)

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