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堕落のグルメ 友里征耶

本書は、飲食業界の裏話のような内容だと思って読み始めたのだが、すぐにそういう単純な本ではないことが判ってくる。まず、著者は、その業界の人ではなく、お客さんの立場で、現在の飲食業界を告発している人だということが判る。即ち、飲食業の関係者でその実情に精通している立場からというのではなく、業界の外側にいて、本気で業界と戦っている人なのだ。読み始めると、最初の方は、著者と著者に批判された飲食店とのとんでもないバトル、飲食店に恐喝された話とか訴訟に発展してしまった話などが数多く紹介されている。普通の読者にはついていけない壮絶な話ばかりで、面白いことは面白いが、何の役に立つのかも判らない。話はやがて、業界告発の核心部分に至る。ここにきてはじめて気がつくのだが、最初の数々の著者と飲食店のバトルの話は、著者による告発の信憑性を高めることに一役も二役もかっているのだ。最後の方は、関西の飲食業界、特に京都の和食の店に対する痛烈な批判に至り、さらには、それを放置したり増長させている関西人のグルメと呼ばれる人全てへの批判への話が進む。激烈すぎてびっくりだが、面白さは天下一品。話に具体性がないのがやや残念だが、そんなことどうでも良いと思ってしまうほど熱い内容だ。(「堕落のグルメ」 友里征耶、角川SSC新書)

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