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13・67 陳浩基

本屋大賞の翻訳小説部門で2位にランクインするなど、色々なところで絶賛された1冊。最近では珍しい海外作家による短編ミステリーということなので、どんなものかと思って買ってそのまま積読になっていた。久し振りにまとまった時間が取れそうなので読んでみることにした。読み終わって、帯に書かれた「オールタイムベスト級の傑作」という謳い文句が決して誇張ではないと感じた。本格ミステリーと社会派ミステリーの融合という賛辞も全くその通りで、重厚さとエンターテイメント要素を兼ね備えた見事な一冊だ。主人公が植物人間状態という幕開けも衝撃的だが、主人公のキャリアと香港の歴史を逆に遡っていく構成の妙、ひとつひとつのエピソードの面白さなど、人に伝えたくなるような要素が全開だ。なお、本書に関しては、訳者の功績が非常に大きいと思う。翻訳小説にとって非常に厳しい環境下、本書を翻訳してくれただけでも有難いことだが、日本の読者に読みやすいような工夫が全編に感じられて、本書が日本語で読めることの有難さを痛感しながら読み終えた。(「13・67」 陳浩基、文芸春秋)

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