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悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト 浦久俊彦

「本邦初のパガニーニ伝」と帯にあるが、自分の記憶では、子どもの頃にかなり詳しい彼の伝記を読んだことがあり、子ども向けの本ながらその時の衝撃はいくつかのエピソードも含めて今でも鮮明に記憶に残っている。本屋さんでたまたま本書を見つけた時、自分の遠い昔の記憶を確かめたくて、迷わず読むことにした。読んでみて最初に感じたのは、自分の記憶がかなり確かで、死後なかなか埋葬場所が決まらなかったこととか、自分の作品が他の奏者に真似されるのを危惧して演奏会の後に楽員に配った楽譜を回収して破棄したことなど、殆どのエピソードは記憶通りだった。一方、新しい情報としては、パガニーニの愛器「キャノン」が時々貸し出されて演奏会やレコード収録に利用されていること、パガニーニが生前から大金持ちだったことなどは、前に読んだ本には書かれていなかったように思う。そうした新しい情報も含めて、懐かしんだり驚いたりで、楽しい一冊だった。(「悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト」 浦久俊彦、新潮新書)

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