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朝日ぎらい 橘玲

本書は、「日本の若者の保守化」「保守とリベラルの逆転」「世界的なリベラル化の流れ」など、色々な日頃の疑問を分かりやすく教えてくれる。さらにその奥にある本質的な状況についても理解が広がったようでとてもためになった。特に、今のままでは希望が持てないと感じる若者との世代ギャップ、リベラルが勝利したが故のリベラルの閉塞状況といった指摘が心に残る。また、「道徳の貯金」といった内外の研究成果の紹介も沢山あり、ためになった。内容については文句ないが、残念なのは「朝日ぎらい」という題名だ。本書には朝日新聞社に関する記述はほとんどなく、著者自身が恥ずかしそうに述べているようにベストセラーのパロディとのこと。あとがきで著者はこの題名を「朝日新聞社の勇気と良識」と評価しているが、「この本によってもたらされるマイナスよりも太っ腹と思わせるイメージアップのプラス効果の方が大きい」ということだろう。著者のような論客がここまで馬鹿にされ、新聞社の宣伝に踊らされているのを見るのは悲しい。(「朝日ぎらい」 橘玲、朝日新書)

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