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凡人のための地域再生入門 木下斉

小説形式で読む地方再生に関する成功・失敗事例集。多くのケーススタディから何を読み取るかは読者次第だが、全編を通じて最も強調されているのは、公的な資金や情報に頼っていては再生どころではなく逆効果しかない、地方再生の志を実現していくまでには多くの予想外の壁があることを覚悟の上でそれらに個別に対応していくしかない、という2点だ。自分が30年前に知り合った地方活性化に取り組んでいた人(公務員)もそのことを当時から痛感していたようで、彼が「どこの地域でも通用する活性化策などあるわけがないのにそれを考えなければいけない自分の仕事が虚しい」と言っていたのを思い出した。地域活性化の解説本がおしなべてやるべきことのヒントという形で普遍的な対策があるかのような前提で書かれてしまっているのは、そうでなければ多くの人に読んでもらえないからだ。そうした呪縛のないことが本書の最大の特徴だと感じた。(「凡人のための地域再生入門」 木下斉、ダイヤモンド社)

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