平等院鳳凰堂の意外

2023-10-27 06:30:14 | その他旅行き
京阪の宇治駅を出るとすぐに宇治橋がある。
橋の中程に「三の間」という出っ張りがある。
昔、秀吉が茶の湯の水をここで汲ませたそうだ。
川面は遠いのにどうやって汲んだんだろうか。
井戸の桶のように綱で引き上げたのかな。



宇治橋を渡り平等院の参道へと入る。
宇治と言えばお茶処。
緑茶を売るお店がいっぱい並んでいた。
最近はお茶っ葉だけでなく、抹茶ソフトやら抹茶ラテの元なんてのも売ってる。
ソフトクリームに食指が伸びるが、修学旅行生でいっぱいだったので諦めた。



平等院の敷地に入り、前庭を歩いていくと入口の赤い門がある。
入場料を払う時教えてくれたのが、鳳凰堂内の見学を人数制限ありの時間制で行っているということ。
鳳凰堂横に受付があるそうなので入場してすぐに行くと、次の回にギリギリ入れることになった。



10分ほど手前の観音堂や藤棚を見学し、集合場所へ行くと注意事項の説明があった。
内部は撮影禁止で、壁や柱に触れないように、とのこと。
時刻となり、前回見学者と入れ替えに堂内へと向かう。
鳳凰堂は池に囲まれているので橋を渡り、靴を脱ぎ、廊下に上がり、角を曲がれば、ご本尊の阿弥陀如来坐像がドンと座しました。
係の人がマイクで鳳凰堂の来歴他について説明してくれた。



目を惹いたのはまず阿弥陀如来坐像。
時を経た渋い色合い。
光背と天蓋の造りが見事だった。
周りの壁には雲に乗った菩薩像がたくさん掛かっている。
全部で52体あるらしいのだが、その内の26体は取り外されて、付属美術館に展示されているそう。
お堂の中のは遠くてよく見えなかったが、後で入った美術館で間近に見るそれは、とても優美な彫りが施されていた。
豊かな表情でよく破損せず保存されてきたなと感心する細く彫られた様々な楽器を持ち音楽を奏でている。
今は色が落ちて焦茶色の木目の表面だが、出来た当初は艶やかに彩色されていたそうで、復刻した当時の彩色のレプリカも飾られていた。
うーむ、色付きでない方が渋くてかっこいいな。
お堂の中の壁にも絵が描かれていたそうなので、昔はポップと言える室内だったようだ。



そして見学は次の間へと進むのかと思っていたら、その阿弥陀如来の座す間だけが見学対象なのだった。
廊下に出て奥を見ると、なるほど奥には部屋はもうなく、靴を脱いだ場所と対になる形で翼廊と呼ばれる廊下があるだけだった。
廊下の屋根の装飾が豪華なので、いろいろ部屋が設けられていると錯覚していた。
壁のある部屋は阿弥陀如来の座すお堂だけなのだった。
お堂の後ろに尾廊と呼ばれる場所があり、そこには何かありそうではあったが不明。



靴を履いて外に出、庭園を順路に沿って歩く。
池に映る鳳凰堂が正面から見える場所では、修学旅行生がクラス全員で並んで立ち、記念撮影していた。
正面からよくよく見た鳳凰堂には確かに真ん中にしか部屋はなかった。
豪華な造りにすっかり騙されていたなあ。



その後は鐘楼や付属美術館の鳳翔館、裏手にある書院などの建物を見学。
鳳凰堂は平成に大修理が行われたそう。
だからか柱も壁も小綺麗で、外見は古い建物のように見えず、あまりフォトジェニックでなかったのが残念。
裏手の建物の方が自分のお好みだった。
しかし仏像は見応えがあったなあ。
これまでお寺を訪れるとその建物の佇まいに目が行き、仏像に感心することはあまり無かったのだが、ここではそれが逆転してしまっていた。
そんなこともあるのだなあと、これまでにない寺院見学となった。