
コンブ(昆布)
【語源】

昆布の語源は中国語説、アイヌ語説、日本語説の3通りあります。

書物にコンブが登場する最古のものは中国の漢代初期以前で、
「カンプ」と記されています。

昆布という字が当てられるようになったのは紀元300年頃とされて
います。

この文字がその後、中国から日本に伝わったという説が一つ。




起源はアイヌ語にあるのではという説もあります。

元来、中国には昆布は分布していなかったと考えられ、それを中国に
伝えたのがアイヌだったと言います。

その根拠はアイヌ語の「クンプ」です。

これは「水中の岩に生える草」と言う意味で、昆布の事を指します。

また、「コンプ・モイ」と呼ばれる地名も北海道にあり、釧路の
昆布森、根室の昆布盛を指しているようです。

「昆布の入り江」の意味と考えられています。

一方、日本語説では、昆布の古語「ヒロメ=広布」、これを音読
すると「コウフ」、これが転じて「コンブ」になったと言う説も
あります。


【旬】

近年、養殖が盛んで、天然昆布の出荷量を超えつつありますが、
旬は、7~9月。夏が旬です。


【うんちく】

北の海の産物である昆布が日本の古い文献に登場するのは、8世紀
初頭のことです。

東北地方より大和朝廷に献上されていたことが記されています。

鎌倉時代以降になると和人の蝦夷地(北海道)開発が進み、
昆布は重要な交易品として海路敦賀に運ばれ、京に入り、瀬戸内を
経て大阪、そして江戸に・・・。

さらに九州、琉球へと長い年月をかけて広がっていきました。

この間、昆布は各地の食文化に溶け込み、それぞれの昆布文化を
育んでいきました。

当時中国貿易の中継点だった沖縄は現代でも、昆布の消費量が
トップクラスです。




【昆布の主な種類】

まずは、真昆布。

道南の松前~室蘭、青森県小泊~宮城県に分布しています。

上品な甘味のある澄んだ出汁が取れ、大阪方面で出汁昆布として
最も使用されているようです。


2つ目は、利尻昆布。

石狩湾~利尻・礼文島~知床半島に分布しています。

見た目は真昆布によく似ていますが、旨味は真昆布より薄く、上品な
風味の澄んだ出汁が取れます。京都料理に欠かせない昆布です。

3つ目は羅臼昆布。

正式名はエナガオニコンブといいます。

厚岸~羅臼、歯舞諸島に分布しています。昆布の王様と呼ばれるほど
旨味が濃く、香りの高い出汁が取れますが、やや黄色みがかっていま
す。

透明度を重んじる京都には不向きなようです。


4つ目は日高昆布。

正式名は三石(みついし)昆布といいます。

渡島半島~日高~白糠、青森県太平洋側~三陸に分布しています。

甘味が少なく出し汁に若干色が付きますが、煮上がりが早くて
柔らかいのが特徴です。

出汁と煮物が兼用できる便利さが支持されて、関東で最も使用され
ています。

5つ目は長昆布。

その名の通り最も長い昆布で、生産量が最も多く、釧路~根室、
歯舞諸島に分布しています。

繊維質が少なく柔らかいので出汁には不向きです。

昆布巻きやおでんなどに用いられる、煮物専用の昆布です。

早煮昆布の商品名が付いていることも多いようです。


【ブランド・産地】

産地は、北海道が概ね しめています。東北でもわずかに・・・・。

ブランドとしては、たくさんありますが、羅臼昆布がトップ・ブラ
ンドと言えるでしょう。




【産地ならでは漁師料理】

産地であっても、出汁とりが主な使われ方のようです。

よって特別な料理は見当たりませんが、これほど日本食文化に
根ざした食材はないのでは・・・?

味だけでなく、出し汁の色にまでこだわり、使い分けられる昆布。

また、この旨みを感じ取る舌を持つのは元来、日本人だけだとか・・

日本人の味覚をも作り出した、すごい食材なのです。


【栄養と効果・健康】

海水中のミネラル・ビタミンをたっぷりと吸い込んだ昆布のヘルシー
パワーはすごいです。

ビタミンではB群、ビタミンKをかなり含んでいます。カロチンも緑黄色野菜に
匹敵するほど含んでいます。

ミネラルでは、カルシウム、マグネシウム、カリウム、亜鉛、ヨウ素
、鉄分などを多く含む上、消化吸収率が高い~究極の健康食です。

また、フコイダン、アルギン酸などの食物繊維も豊富で、血中の
コレステロールを減らしたり、大腸がんの抑制、血圧上昇の抑制、
免疫機能を高めるなどの作用が期待できます。











