サクラエビ(桜海老)
【語源】
生きている桜エビの体は透明で、赤色の斑点状の模様があります。
茹でると不透明となり、体色は桜色となり、このことからサクラエビ
と命名されました。
また、桜の咲く時期に多く漁獲される為、命名されたとも言われて
います。
主産地である静岡県では、このサクラエビを県魚にして指定ます。
【旬】
桜海老の漁獲量は、年によって増減が激しいのが特徴です。
この原因は解明されていませんが、資源保護のため春漁が3月末から
6月上旬、秋漁が10月末から12月末と漁の期間は限定されていま
す。
つまり春と秋の2回旬がある事になりますが、名前の由来どおり桜の
季節、春を旬とするのが妥当でしょう。
漁師さんに言わせると、「春の桜海老は魚体も大きく高値がつくが、
本当に美味いのは12月末に獲れる物だ」・・・と
「殻の柔らかい、この時期の物はゆでると最高じゃ~」と言います。
桜海老のかき揚げ
【うんちく】
体長はわずか4~5㌢ほどの小エビです。深海性で昼間は200~300㍍
ほどの深さの所にいて、夜間にはエサを食べに表層20~30mまで
浮上します。
そして、明け方には再び深みへ戻ります。これが桜えびの生活パタ
ーンで、15~16ヶ月の短い生涯を全うします。
日本で漁獲されるほとんどは駿河湾です。
他に遠州灘や相模湾、東京湾でも漁獲されますが、量的には駿河湾が
圧倒的です。
外国では台湾、中国に分布するくらいで、世界的にも稀少生物として
知られています。英名は『sakura shrimp』・・・そのままです。
釜揚げ桜海老
【桜エビ漁の歴史】
駿河湾のサクラエビは宇治川、大井川、安部川の淡水が混入する河口
付近に群れます。これを狙い、由比、大井川、蒲原の漁師さんが船を
出します。
深海性のサクラエビが如何にして発見されたかは、由比の漁師さんの
間で語り継がれています。
明治27年、駿河湾由比の二人の漁師がいつものように夜間のアジ漁に
出ました。漁場に着いて網を下ろしたのですが、うっかり、浮き樽を
網に結ぶのを忘れたのだとか・・・・・。
この為、網は海深く沈んでしまいました。これに気付いた漁師さん、
やりきれない気持ちで網を引き上げたところ、何と大量の見たことも
ない小エビがぎっしり入っていてびっくり~。
これが世界初のサクラエビの発見になりました。
漁師さんのウッカリに感謝。意外に歴史は浅いんですよ~!
干し桜海老
【ブランド・産地】
サクラエビと言えば駿河湾です。サクラエビ自体がブランド化して
いると言っても良いでしょう。
桜海老のにぎり寿司
【髭(ヒゲ)のとり方】
サクラエビには長いヒゲがあります。これが意外に気になります。
このヒゲを簡単に取る方法があります。
①ボールに水をはります。
②これにサクラエビを入れ、数本のハシでかき回す。
以上・・・これだけ・・・嘘のようにヒゲが取り除かれます。
ハシは割り箸が良いですよ~!
沖あがり
【産地ならではの漁師料理】
サクラエビの食べ方の定番は、かき揚げ、刺し身、寿司、釜茹で・・
・・などですが、漁師料理としては『沖上がり』と言うものがあり
ます。
砂糖・醤油・酒で作っただし汁の中に、ヒゲをとったサクラエビと
豆腐、ネギ、キノコなどを入れた鍋。
簡単に言うとサクラエビを使ったすき焼きです。
大漁の後、沖から戻った漁師さんが好んで食べた漁師料理です。
もう一品は簡単~!釜茹でしたサクラエビを熱いご飯にのせ、醤油を
かけて食べると言うシンプルな物。ポイントは茹でたてを使う事。
病みつきになりますよ~!
【栄養と効果・健康】
ほとんどの海老は殻を剥いて食べますが、サクラエビは殻ごと食し
ます。この為、カルシュームの摂取量は桁違いに多くなります。
他の海老類の15倍摂取できると言われています。
骨粗鬆症などの予防に最適。
もう一つこの殻にはキチン質という繊維も多く含まれており、糖質、
コレステロール、塩分などを体外に排出する効果もあります。
糖尿病、高脂血症などにの予防にもなります。
また、コレステロール値を下げるEPA・DHA、タウリンなども
摂取できるスーパー健康食品と言えるでしょう。
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