大きな通りが立体で交差している場所のノリ面に、変わった木が生い茂っているので気になった。大きな木ではないが、葉が細長く、つやつやしている。近寄ってみると、親指を少し大きくしたくらいの実があちこちの細い枝に突き出ている。実の形は明らかにイチジク。だが、イチジクではない。
早速、ネット上で調べてみた。春、樹木、実で検索すると、各種の果実がでてくる。スクロールしていくと、それらしい画像に出くわした。イヌビワとある。私には知らない木である。
解説によると、関東以西で見られ、元々は熱帯性の植物。実は黒く熟すると、甘く食べられるという。誰が植えたものやら。場所も場所だし、庭木として植えたものではないのは明らか。
都心の真ん中とはいえ、ほんの少しの斜面に、こんな野生が生きていることに驚くのだが、ちょっと注意を払っていると、小さな路地でいろいろな草木に出会えるものだ。これを調べ、名前や植生を知り当てることで不思議な充実感が得られるものである。
イヌビワ、もうじき熟すだろうから、ハクビシンなどに食べられる前に収穫したい。持ち主が定かでないし、実をもいでも苦情はこないだろう。これは楽しみだ。
なお、このイヌビワ、葉の形状から正式にはホソバイヌビワというらしい。絵はイヌビワの枝ぶりの一部【彬】