今年12月18日付けの、米国タイム誌に、恒例の今年最も世界に影響を与えた「今年の人」に、「沈黙を破る人たち」 the silence breakers が選ばれた。
性的被害を受けた女性および男性が、勇気をもってその経験を語り、加害者を非難、告発する内容。61名の被害者の顔写真入りで38ページにわたる。
毎年選ばれる人は、政治家、実業家、などの人物だが、今回のような記事になったのは、タイム誌の、編集方針、つまり、グローバル、多様性、リベラル、といったものがそうさせたのだろう。編集責任者は、「通例は、大統領、首相、法王、など組織制度の中の人物だが、今年は、新機軸になるもの、世界は根本から変えることが出来るということを想起させるものとした。」と語る。
事実、被害を訴える動きは世界で大きなうねりとなっている。これは、SNSによるところもある。米国の某女優の、#Metoo(私も被害にあった)の発信に対し、85か国、数百万人が、(私も被害にあった)、と対応している。
僕は、ハリウッドの大物プロヂューサーが加害者で、有名女優たちが被害者としてテレビで報道されたこともあり、興味をもって読み始めたが、ある感慨もって読み終えた。
感慨をもって読み終えたというのは、
① このような、動きは先ず、欧米、特にアメリカではじまるものだな。僕のような、極東の日本の、一人の男性として、すぐには理解が難しいな。
② 先日、この記事に絡んで、某テレビ番組で、女性の社会進出に詳しい専門家は、「日本は、女性進出が欧米に比べ20~30年遅れている。#Metooで対応するのは、過剰反応と思われがち。」と述べている。
③ 文化の違いで済ませてはいけないのだが、個人主義、民主主義、といっても国によって違いはある。訴訟社会の米国では。このような動きはむしろ遅すぎたのではないか。
さて、タイム誌を長年読み続け、毎回、新しいことにことを知る。報道の自由、読むことの自由の素晴らしさを感じる。来年も、期待したい。
絵は、タイム誌の表紙スケッチ。
2017年12月13日 岩下賢治