このほど、カミユの「ペスト」La peste を読了しました。これで、2回目ですが、「夏の読書」として5月頃から読み始め時間がかかりました。9~10月は様々事情があり、本を手にすることが殆どできなかったのですが、先ずは一安心。
カミユの文章、フランス語は僕にとっては難しく、登山に例えるなら、危険なルート、藪をかき分け、を限りなく繰り返し、迷うことばかりで、ようやく頂きに立ったという感じ。
ペストいう病に襲われた、アルジェリア・オラン市民の恐怖、悲しみ、失望、そして、一筋の希望。・・・・今、現実の世界を見ると、多くの不条理の中にある。この小説は読むに値するものと言える。
小説では、ペストは収束し、市民は普通の暮らしをとりもどした、という終わり方をしているが、カミユは最後に主人公の医師、Rieuxを介し次のように語っている。これが、本当にいいたかったこことだと思う。
せっかくなので、まずフランス語で。
・・・la pest ne meurt ni ne disparait jamais, qu’il pendant des dizaines d’annees endormi dans les meubles et le linge,・・・・・・・le viendrait ou, pour le malheur et l’enseignemont des hommes, la peste reveillerait ses rats et enverrrait mourir dans une cite heureuse.
次に日本語。
ペストは死にもしないし、消えることもない。何十年もの間、家具や下着類の中で眠り続け、・・・・・いずれ、人間にとって不幸にも、また、教訓としても、ペストはネズミを遣わし、幸福な街に死をもたらすであろう。
さて、絵は、ペストが収束し、医師Rieux(リユー)が、ベランダからオラン市を眺めている。収束を祝う花火が打ち上げられている。
2023年11月17日 岩下賢治