ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

トランプさんの正気

2025年03月09日 | 日記

          カンツバキ
 世界中がトランプ大統領の施策に揺れている。関税などに代表されるアメリカ・ファーストということに怯えている。自国の発展を行政の中心に据えるというのは、トランプさんに限らず、どこの国の政治指導者も実施していることであり、とりたて問題にならるわけではない。ところがトランプさんがいうと大騒ぎになる。なぜなのか。
 トランプさんのアメリカ第一主義は、広大なアメリカ全体を見据えたものではなく、特定の地域や産業に偏っているからだろう。移民問題、ラストベルトの産業、石油ガスの問題など、いずれもアメリカあるいは現代社会が抱えている本質的な問題であり、何か施策を施せば解決するといった問題ではない。
 問題の根本は米ソ冷戦後の、安定したかに見えた世界情勢が、イスラム主義の台頭、中国の想像以上の発展で大きく揺さぶられていることにある。強力な武器弾薬が安易に手に入るようになって政治が不安定化したことも一因だ。そして世界資本が縦横に駆け回り、産業の基地が至るところで発達し、資本が利鞘を求めて世界を跋扈している。
 こうして、かつての安定したアメリカの社会・文化が、根本的に揺さぶられているのである。世界の警察官だったアメリカが機能しなくなっているのだ。
 トランプさんは、こうしたかつてのアメリカを取り戻そうとしている。しかし、それはアナクロニズムそのものだ。私たちはトランプさんの施策を云々することよりも、アメリカが抱えている問題、たとえばラストベルトの産業の現状、移民や黒人の生活実態にもっと詳しくなりたいものだ。
 宗教研究家でアメリカ史に詳しい小川寛大さんがトランプ大統領就任式に合わせて渡米し、問題となる北アメリカ=ラストベルト地帯を取材している。
「先だってかなり“わざわざ”ヴァンスの故郷ミドルタウンまで行ったんだけど、聞きしに勝るさびれ方をしてるわけです。そこに限らずアメリカの田舎のさびれ方というのは「過疎、衰退」とかのレベルじゃないんですよ。「廃墟、荒野」みたいな感じなの。そこに薬物や銃もあって、そういう場所で彼は育った。」
 と言っています。リストラと工場の海外移転で切り抜けた日本の家電メーカーなどとはまるで違うようなのである。政治上のことではなく、アメリカ社会のことをもっと知りたい。私の若い頃は、アメリカの探偵小説やテレビドラマ、映画でアメリカの様相を知ったものだが。【彬】
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