ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

暑さを忘れる夏の読書

2018年07月10日 | 日記

 夏の時期に少し大きな読書をするのが自分の習慣になっている。子供の頃の思い出が多いが、社会に出てからも日常から離れた本の世界に浸り、現実の世界に戻った時には、それも特に若い頃には、世の中の色が変わって見えたこともあった。それが、夏休みの読書のおおきな楽しみでした。その習慣が今でも残っている。

 今年の夏は、アンドレ・ジイドの、la porte etroite (狭き門)を読み始めている。2年前にも読んでいるが、今度はフランス語の勉強をもう少し深めようと、筋を追うよりも、文章を味わおうとしている。二度目だから少しは楽かと思いきや、かなり厄介で、むしろ時間がかかる。ある評論家は、ジイドの文は「一字一字がノミの閃き宿し、人の心の壁に刻み付ける・・・」と言う。僕も、なるほど、と思う。 

 以前もこのブログで書きましたが、「狭き門」は高校生の夏休みに読み、西洋文化に少し目を開かせたものです。今また、フランス語で読み返しながらその世界を楽しんでいるのですが、言葉の意味や、表現方法の壁にぶつかり立ち止まり、大いに汗をかいたりする。そんなことで、暑さを忘れさせてくれる。これが夏の読書の醍醐味ですね。

 絵は、主人公ジェロームの恋人アリサの顔。小説の文章から想像して描いてみた。

 Je ne revois que l’expression presque trist deja de son sourire et que la ligne de soucils,si extraordinairement releves au-dessus des yeux, ecartes de l’oeil en grand cercle. Je n’ai vu les pareils null part…si pourtant : dan une statuette Florentine de l’epoque de dante.

 ・・・私は彼女の笑顔には、すでに憂いに近い表情があり、眉毛の線が目元からかなり離れ、目の周りの大きな輪郭になっていることばかりを思い出す。このような眉毛はどこにも見たことがない。・・・おそらく、ダンテの時代のフローレンスの小像だけだろう。 

    2018年7月10日  岩下賢治

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