のんびりぽつぽつ

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「きつねのはなし」

2009年08月02日 22時46分56秒 | ☆本☆
森見 登美彦 著 新潮文庫

久々の、初めて作家さん。
本当は「宵山万華鏡」を読んでみたいのだけれど、単行本・・・・・
今の私には許されない贅沢。
かといって、図書館は現在めいっぱい「旬」な作品なので、いつ手元に届くかわからない。

となったら、文庫本で、似たような作品を探してみるか、と手にとって見ました。

舞台は京都。4つの短編からなるお話。
どこかに共通点を持たせつつ、一つ一つが完全に独立した物語。
時系列もあいまい。結末もあいまい。

細い路地を曲がった先の、見えないけれど見えるもの。在るけれどないもの。
そんな、「あやしの世界」と「人の世」を重ね合わせた物語。
ところどころに背筋が寒くなるような、人の価値観からすると許せないような場面も現れるのだけれど、
気がつくとそのまま流されてしまう。
とっぷりと暮れた京の街を想像しつつ、読ませてもらいました。
こういう曖昧さ。
好きです。

この物語の中の京の都(と、呼びたくなりました。決して時代物ではないのだけれど。)は、
まだまだ様々な「もの」「とき」を隠すのに場所を与えてくれる町なんだろうな。。

この方の作品は、全部こういう雰囲気、というわけでもなさそうですね。
機会を作って他の本(文庫本限定だけど)も手に取ってみようかな。
久しぶりの新しい世界(笑)。

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