遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国軍艦の「接続水域」「領海」への相次ぐ侵入 日本の対処は間違っている

2016-06-18 23:58:58 | 東シナ海尖閣諸島
 6月9日に、尖閣諸島の接続水域にフリゲート艦が侵入したのに続いて、15日には、情報収集艦が鹿児島県口永良部島の日本の領海に侵入という、中国海軍・軍艦の連続した挑発行動がつづいています。
 日本政府は、9日の接続水域への進入には素早い行動で中国をけん制しましたが、15日は領海侵入というエスカレートした行為にも関わらず、9日に比べると鈍い対応しかしていません。
 そこには、「無害通航権」と、南シナ海で米国が実行している「航行の自由作戦(FONOP)」との絡みでの中国の反攻があるのですね。
 したたかな中国の戦術にどう対処すべきか。攻勢をステップアップしてきている潮目の変化時。今後の攻防に大きく影響を及ぼす事になる適切な策が必要ですね。

 9日の接続水域への進入への対応については以下の様に、適切な対応と、評価をさせていただいていました。
 
中国軍艦がついに尖閣接続水域に侵入 - 遊爺雑記帳

 しかし、ロシアの軍艦と中国の軍艦とで、対応を代えたことを中国が突いて反攻して来ると指摘された記事がありました。
 

「接続水域」航行への抗議は中国の思うつぼだった ロシアも航行したのに中国にだけ抗議、中国は作戦開始? | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.6.16(木) 北村 淳

 
6月9日、ロシア軍艦と中国軍艦が時を同じくして尖閣諸島周辺の日本の「接続水域」(主権を有する国の海岸より24海里から12海里にかけての海域)内を航行した。
 この事案への日本政府の対応は、中国政府の目論見通りに日米同盟に打撃を加え、中国側に利することとなりそうだ。

■日本政府は中国政府に対してのみ抗議
 日本政府は、「ロシア軍艦が日本の接続水域を航行した」事実に関してロシア政府に何らの抗議もしていない。しかしながら、「中国軍艦が日本の接続水域を航行した」事案に関しては中国政府に厳重抗議を行っている。
 通常、外国軍艦による接続水域内の航行は、国際法上何らの問題も生じない。なぜならば、接続水域は国際法上「公海」とされているため、いかなる国の軍艦といえども「航行自由原則」を享受しているからだ。
 国際法上問題が生ずる可能性があるのは、外国軍艦による「領海」(主権を有する国の海岸より12海里内の海域)内の航行である。ただし外国軍艦が他国の領海内を通過するに際して、領海国に対して軍事的脅威を与える行動や何らかの軍事行動(偵察や軍事的調査などの実施)を疑わせるような行動をとらず、スムーズに航行する場合には国際法上認められる「無害通航権」の行使とみなされる。
 今回、
日本政府が中国政府に対してのみ抗議したということは、ロシア軍艦に対しては航行自由原則を認め、中国軍艦に対しては航行自由原則を認めなかったことになる


 このような日本政府による中国とロシアに対する態度の差は、尖閣問題にとどまらず南沙諸島問題をも巻き込んで、日本やアメリカに厄介な影を投げかけることになリかねない。

■中国軍艦に対する「航行自由原則」の制限を主張
 なぜ日本政府はロシアには何ら抗議せず、中国には厳重抗議したのか。その理由としては、「日本と中国の間には尖閣諸島の領有権をめぐる紛争が存在しているために、日本政府が中国軍艦には接続水域内の航行すらも認めないという姿勢をとっているから」としか説明のしようがない。

安倍政権は2015年5月の閣議決定において、「無害通航権の行使とは認めがたい外国艦船に対しては、原則として海上警備行動を発令する」ことを決定している。
 また、今年の1月には、中国政府に対して「尖閣諸島周辺の日本領海に中国軍艦が侵入した場合、海上警備行動を発令して海自軍艦を派遣する」という閣議決定を伝達
している(もちろん、これは日本の領海内が問題になるのであり、接続水域は範囲外である)。
 今回の中国への厳重抗議は、その閣議決定を踏まえた
日本政府が、「日本の領海内航行には至らずとも、中国軍艦が日本の接続水域内を航行することも日本に対する軍事的威嚇とみなし、航行の自粛を求める」という立場を中国政府に対して表明した
ものとみなすことができる。
 つまり、日本政府は領有権紛争海域において、限定的とはいえ
「航行自由原則」に対する制限を主張
していることになる。

■予想される中国政府からの“反撃”
中国政府は、南沙諸島周辺海域をはじめとする南シナ海で、「航行自由原則」に対する制限を主張
している。中国領海内を通航しようとする外国軍艦は事前に中国政府の許可を受けなければならない、という無害通航権の制約の主張である。
中国政府は「我々の主張と似通った制限を、尖閣周辺海域で日本政府は実施している」という解釈を国際社会に喧伝する
であろう。

 そして、アメリカに対しては次のように主張するであろう。

「日本政府は東シナ海で、“自国防衛のための『航行自由原則』に対する一定の制限”を実施している。中国政府は、それと似通った制限を南シナ海で実施しているのだ」
「アメリカ政府は、南シナ海での中国による自衛措置に対して『航行自由原則』の維持のためと称してFONOPを旗印に軍艦を派遣し中国を脅迫している。それならば、東シナ海での日本政府による『航行自由原則』に対する制限措置に対して、アメリカ政府はどのように対処するのか?」

さらには日本の領海内に中国軍の軍艦を侵入させることを正当化する
、こんな難癖も言い出しかねない。

「アメリカは領有権紛争が存在することを口実に、南沙諸島周辺海域を中国の海ではなく公海と言い立てて、渚碧礁(スービ礁)や永暑礁(ファイアリークロス礁)の周辺12海里内海域にまで軍艦や航空機を乗り入れている。そして、そのような軍事的挑発行動を“航行自由原則維持のための作戦(FONOP)”と名付け、あたかも国際海洋法を擁護するための行為と正当化している。それならば、
中国としても領有権紛争係争中の海域である尖閣諸島周辺12海里に軍艦を乗り入れても、アメリカから文句を言われる筋合いはない
──」

■日本を全面支援するわけにはいかない米国
 米海軍関係者の間には、尖閣諸島の日本領海や先島諸島をはじめとする南西諸島の接続水域内に、中国が中国版FONOPとして軍艦を送り込んで来る日も遠くないであろうと危惧する者も少なくない。
 つまり、「国連海洋法条約に加盟している中国としては、日本政府による『航行自由原則』を無視するような姿勢に抗議するためにも、アメリカと同様にFONOPを実施することになるであろう」という推測である。
 実際にこのような事態に陥った場合、アメリカ側としては、日本政府の中国軍艦に対する強硬姿勢(もちろん日本政府が腹をくくった場合だが)を表立って全面的に支持するわけにはいかなくなってしまう。言うまでもなく、アメリカは南シナ海での中国の海洋進出を「航行自由原則を踏みにじる所業」といった観点から批判しているからだ。
河野統幕長(海将)は、「万が一、(中国軍艦が日本の)領海に入った場合はそれ相応の対応をする」と述べている。具体的な対応策は口にしていないが、自衛隊法に基づいて「海上警備行動」の発令
を防衛大臣に要請することを意味していると思われる。しかしいくら警察権の行使程度に限定されるとはいえ、海上自衛隊の軍艦が出動して中国軍艦と対峙するからには、軍事衝突が発生する可能性は決して低くはない。
 そのような場合、軍事行動に何よりも正当性事由(たとえでっち上げたものであっても)を重んずるアメリカ政府としては、日米安全保障条約を根拠に日本に援軍を差し向けることは極めて困難となるであろう。

(なお、本稿を完成させた直後、
中国海軍情報収集艦が口永良部島沖の日本領海内を航行したとのニュースが伝えられた。本稿で問題になった接続水域内通航と違い、領海内通航であるため「無害通航権」の行使、そして中国版FONOPの開始、といった視点が必要になるものと思われる。この問題に関しては、いまだ情報が乏しいため、次回触れさせていただきたい。)


 一理はありますが、ロシア艦はウラジオストックへの帰途であることは明白で、過去にもあることで、「無害通航」に該当すると言える行為です。
 ただ、「無害通航」には、例外があります。中国のフリゲート艦は、もともと尖閣近海に常駐し、定常化している「海監」の尖閣近海への接近や侵入を後方支援していたものです。
 尖閣諸島への日米同盟の適用について、米国が実質管理を日本が行っていることを根拠としているので、中国が実質管理をしようと、「海監」の増強と近海への定着と接近漁船の管理を進めていることは衆知のことです。その管理のレベルアップや、中国漁船団による尖閣上陸を伺っていることも、諸兄がご承知のことですし、その阻止の為の日米合同演習も、頻繁に行われていますね。
 そうした情勢のなかで、中国の侵略のレベルアップへの行動としての、ロシア艦の通航と海自艦の追尾の機会を狙っての、フリゲート艦侵入であることは明白です。中国は狙いすました作戦を開始したのです。
 「無害通航」の例外は、「国際連合条約19条2 」で規定されています。
 
海洋法に関する国際連合条約,(略)国連海洋法条約

 しかし、中国は、「無害通航権」と強弁し、南シナ海で米国が実行している「航行の自由作戦(FONOP)」との対比をちらつかせて、情報収集艦の領海侵入という、更なる強行手段を実施してきました。
【中国軍艦領海侵入】“沈黙”の米政府 「航行の自由」作戦逆手に取られジレンマ - 産経ニュース

 領海侵入があれば、自衛隊法に基づいて「海上警備行動」の発令も辞さないと言っていた日本政府ですが、9日の時にも及ばない、通り一遍の鈍い反応しか示していません。これでは、中国の軍艦が日本の領海を自由に通航することを認めた実績を創り、今後エスカレートされることになったと怒ってているのは、青山繁晴氏。

 6/16(木)〜青山繁晴×居島一平〜【真相深入り!虎ノ門ニュース】【Toranomon NEWS】

 過去の経緯など詳しく語られています。苦言の部分は、55分17秒経過あたりからですのでお急ぎの場合は、画面下部のルーラーで早送りしてご覧ください。

 南シナ海での中国の暴挙は、人口の埋め立ての海洋法では認められていない島を基点にした領海です。「九段線」至っては語るに落ちる中国国内の勝手な伝説が根拠で、今日の国際法に照らして通用するものではありませんね。

 国際法を無視しして、「中華の夢」を追求し強弁する中国。
尖閣に関しては、領土問題はないとする日本に対し、領土問題で紛糾していることを世界にアピールするのが当面の作戦です。攻める中国は騒ぎをおこせばよいので攻めやすいのですが、防戦する日本は挑発に乗っても利はありませんので難しい戦いです。
 しかし、放置すれば、尖閣の管理の実態を中国が確立してしまいます。石原都知事の時に、実効支配を強化するための方策として、船溜の建設、灯台の修復、羊からの自然保護等の着手を始めようと、全国から寄付も集まりましたが、民主党政権が国有化し凍結したことで、中国の管理だけが実績を重ねる現状を産んでしまっています。

 石垣市の漁師さんたちは、漁ができなくなり困窮しておられることは、石垣市長が訴えておられます。翁長知事は知らぬふりですね。
 難しい作戦が求められますが、政府の実効支配強化の対策決断が必要です。
 それには、参院選での県民の方々の投票行動が重要になりますね。このまま、中国の侵略が進むのを、ユデガエルのように放置するのか、抑止力を強化するのか。。



 # 冒頭の画像は、鹿児島県口永良部島沖の領海に侵入した中国海軍のドンディアオ級情報収集艦




  シャクナゲの蕾


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