「韓国はディーゼル車普及の"先進国"だった」と言う記事のタイトルに引かれて読んだ記事は、韓国環境部が日産自動車を摘発したが、珍しく、韓国内で反日の炎上に繋がらず、環境部の看板を降ろす事態になりかねない、韓国政府の環境行政批判に発展しているという内容なのでした。
「加湿器殺菌剤」事件で逆風に立たされた環境部が、名誉挽回を焦ったはやとちりだった可能性が高く、墓穴を掘った様なのです。
VWの排ガス問題が世界を揺るがしましたが、韓国政府が世界で2番目となる、日仏のグローバル企業日産の不正を摘発したと喧伝した日産のディーゼル車への疑惑。ところが、韓国と同じような基準がある欧州では合格とされるもので、韓国の環境部の判断が誤りだと、日産が全面否定。
韓国内では、日産叩きは見られず、むしろ、ディーゼル車の急速な普及が大気汚染の原因になっていることや加湿器殺菌剤の事故などをを受けて環境行政に対する疑問の声が強まっているのだそうです。
環境部が加湿器殺菌剤の問題で国民の健康を疎かにしたという批判が高まり、「家の中のセウル号事件」と政府の責任追及論が広まる中、VWの不正摘発に次ぐ日産の不正摘発で名誉回復しようと、焦って中途半端な理解・調査で走ってしまった可能性が高いとの指摘。
そこから議論は更に、大気汚染の進行に向かい、中国の「PM2.5」が原因で汚染が広まったと理解されていたものが、火力発電所とディーゼル車が主因だと判明し、韓国政府のディーゼル車優遇措置によるディーゼル車急増が招いた、窒素酸化物と燃料の燃え残ったススが大気汚染を拡大したと、政府の環境行政への非難が高まることになっているのだそうです。
国会での与党の大敗で指導力が低下し、レームダック化が進む朴槿恵政権。焦れば焦るほど泥沼にはまっている様ですね。
# 冒頭の画像は、総選挙の投票をする朴槿恵大統領(2016年4月13日)
韓国総選挙、与党惨敗のワケ 政権への警告、政局は大統領選に | JBpress(日本ビジネスプレス)
イヌザクラの冬芽
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「加湿器殺菌剤」事件で逆風に立たされた環境部が、名誉挽回を焦ったはやとちりだった可能性が高く、墓穴を掘った様なのです。
韓国はディーゼル車普及の"先進国"だった 日産車「不正」の一方で批判集まる環境行政 | JBpress(日本ビジネスプレス)
韓国で持ち上がった日産自動車製のディーゼル車に対する排ガス「不正」問題は、日産が全面反論して真相はわからないままだ。
韓国内では、日産叩きは見られず、むしろ、ディーゼル車の急速な普及が大気汚染の原因になっていることや加湿器殺菌剤の事故などをを受けて環境行政に対する疑問の声が強まっている。
韓国の環境部は2016年5月16日、ディーゼルエンジンを搭載した日産自動車の多目的スポーツ車(SUV)「キャシュカイ」で排ガス不正があったと発表した。
「日産のディーゼル車 排出ガス操作した」
■VWに次いで世界2番目のディーゼル排ガス不正?
環境部の会見の翌日、大手紙の「朝鮮日報」は1面トップでニュースを報じた。「キャッシュカイ 韓国で初めて確認・・・VWについで世界で2番目」などの見出しもつけた。テレビや新聞も大々的に報じた。
発表によると、排出ガス低減装置に不正が見付かった。窒素酸化物(NOx)の排出量を減らす装置が、エンジンが一定の温度を超えると停止するようになっており、これが「故意の不正措置」だとして、課徴金のほか、全車リコール、さらに韓国法人の代表を刑事告発する方針だと発表した。
2015年に発覚して世界中で大騒ぎになったVW事件以来の「ディーゼル車排ガス不正」なら、大変なニュースだ。16日の発表をメディアで聞かされた消費者は、「日産はとんでもないことをした」という印象を持ったはずだ。
■日産は全面否定
ところが、日産が17日に「韓国環境部の主張は誤りだ」と全面的に反論するコメントを出す。
そもそも環境基準には、エンジンなどを破損する恐れがある場合などには一定温度を超えて装置の作動を停止させてもいいという例外規定があるとの立場だ。
同じような基準がある欧州では「キャッシュカイ」は規制に適合している。この点を説明してもいた。韓国環境部の判断が誤りだという内容だった。
この前後から、一部韓国メディアも急旋回する。
大手紙の「中央日報」は5月18日付で「日産のディーゼル車 同じ試験なのに韓国は“操作”英国は“そうでない”」という記事を1ページにわたって掲載した。
同じような基準で、同じような「例外規定」もある英国と韓国で、同じ試験をした「キャッシュカイ」について正反対の判断を下したという記事だった。
「東亜日報」にいたっては、「環境部は名誉にかけて日産車“ディーゼルゲート”を立証できるのか」という環境部に批判的な社説まで掲載した。
韓国環境部と日産との間の「論争」は、結果を待つしかない。環境部もきちんと調査して発表したはずだ。日産もこれだけ全面的に反論するのだから、根拠があるはずだ。
今回の問題を受けて韓国では、いくつかの点で改めて議論が起きた。
■2000年以降ディーゼル車が急速に普及
1つは、韓国ではディーゼル車の販売が急増した。その結果、大気汚染が深刻になったのではないか、という見方がメディアで繰り返し報じられている、政府の一貫しない環境政策のせいもあるのではないか、という批判の声おも出ている。
<中略>
2008年の実績だけでも日本などに比べるとはるかに高い水準だが、その後、ディーゼル車比率は、2012年に38.65%に上昇した。2013年には43.5%で初めてガソリン車を抜いてしまった。2015年には52.5%と初めて新規登録者の半数を超えてしまった。
特にここ数年急増したのが乗用車だ。2008年には総登録乗用車台数のうち、ディーゼル車は17.4%に過ぎなかったが、2013年には32.4%、2015年には44.7%になった。
どうしてこんなにディーゼル車が増えたのか。
■政府の支援も効果
1つは、2000年代以降、ガソリン価格の高騰で消費者が燃料費の安いディーゼル車に流れたことだ。さらに、ドイツ車を中心とした輸入車が「加速の良さ」などを売り物に販売を伸ばした影響がある。
もう1つ重要なことは、政府が、2009年から、一定の環境対策を講じたディーゼル車は「環境対応車」として、環境負担金の免除など「インセンティブ」を与えたことだ。
電気自動車や天然ガス車、ハイブリッド車などと同じように「環境対応車」としたのだ。
韓国メディアは、こうしたディーゼル車に対する優遇措置が大きな効果を上げたと指摘している。実際、2009年を契機に、ディーゼル車の販売が急加速している。
ディーゼル車は、二酸化炭素排出量がガソリン車に比べて少ない。2010年頃までは、韓国政府の環境問題に対する関心も、二酸化炭素排出量の低減に焦点があたっていた。
そういうこともあって、韓国では欧州並みに急速にディーゼル車が普及したのだ。
■大気汚染の深刻化で雰囲気一変
ところが、である。ここ1~2年ほどディーゼル車に対する視線が急激に変わってきた。
PM2.5の問題だ。
<中略>
最近、韓国で話題になったニュースがある。
米エール大とコロンビア大が共同で世界180カ国に大気汚染の実態調査をした結果、韓国は173位だったのだ。
空気が悪くなってきたことについて、政府は「中国発のPM2.5などの影響が多い」と説明してきた。
だから、一般国民も「中国のせいだ」と思っていた。
ところが、最近になって、韓国内にも原因があるという指摘が増えている。その主犯が火力発電所とともに、ディーゼル車だという主張が次々と出てきた。
ディーゼル車が排出する窒素酸化物と燃料の燃え残ったススが、大気汚染の大きな原因だということだ。
2015年に発覚したVW事件もあって、ディーゼル車に対する関心が高まり、同時に「これまでの自動車環境政策は正しかったのか」という疑問が強まっている。
自動車環境対策の主管はもちろん環境部だ。こうした声もあって、ディーゼル車の調査が始まったのだ。
■加湿器殺菌剤事件
実は、環境部にはいま、強い「逆風」が吹いている。
「加湿器殺菌剤」の問題だ。
<中略>
数々の疑惑が出て、韓国ではこのニュースが1か月以上連日大きく報じられている。
野党や市民団体は、一連の問題に対する環境部の責任も追及している。市民団体が事件発生時とその直後の長官などを告発したほか、現職長官の解任も求めている。
人間の安全や健康に直結する空気や化学品の問題だけに一般国民は敏感だ。環境行政に対する視線はどんどん厳しくなっている。
こういう時に起きた日産車の排ガス「不正」問題なのだ。
先の「東亜日報」の社説は、こう主張する。
「昨年9月にVWのディーゼル車が排出ガスを操作した“ディーゼルゲート”以降、日産に対する摘発は世界で2番目のことだ。環境部が加湿器殺菌剤の問題で国民の健康を疎かにしたという批判を浴びるや、日本のディーゼル車の排ガス操作を中途半端なままで断定したのだとしたら韓国の名誉が毀損されることになりかねない」
「グローバル企業が韓国を軽く見るような口実だけを与えたまま、この日産の問題をうやむやに終わらせる場合、環境部の看板を降ろすことも覚悟しなければならない」
日産の排ガス「不正」問題は、さまざまな背景から意外な展開になる可能性もある。
韓国で持ち上がった日産自動車製のディーゼル車に対する排ガス「不正」問題は、日産が全面反論して真相はわからないままだ。
韓国内では、日産叩きは見られず、むしろ、ディーゼル車の急速な普及が大気汚染の原因になっていることや加湿器殺菌剤の事故などをを受けて環境行政に対する疑問の声が強まっている。
韓国の環境部は2016年5月16日、ディーゼルエンジンを搭載した日産自動車の多目的スポーツ車(SUV)「キャシュカイ」で排ガス不正があったと発表した。
「日産のディーゼル車 排出ガス操作した」
■VWに次いで世界2番目のディーゼル排ガス不正?
環境部の会見の翌日、大手紙の「朝鮮日報」は1面トップでニュースを報じた。「キャッシュカイ 韓国で初めて確認・・・VWについで世界で2番目」などの見出しもつけた。テレビや新聞も大々的に報じた。
発表によると、排出ガス低減装置に不正が見付かった。窒素酸化物(NOx)の排出量を減らす装置が、エンジンが一定の温度を超えると停止するようになっており、これが「故意の不正措置」だとして、課徴金のほか、全車リコール、さらに韓国法人の代表を刑事告発する方針だと発表した。
2015年に発覚して世界中で大騒ぎになったVW事件以来の「ディーゼル車排ガス不正」なら、大変なニュースだ。16日の発表をメディアで聞かされた消費者は、「日産はとんでもないことをした」という印象を持ったはずだ。
■日産は全面否定
ところが、日産が17日に「韓国環境部の主張は誤りだ」と全面的に反論するコメントを出す。
そもそも環境基準には、エンジンなどを破損する恐れがある場合などには一定温度を超えて装置の作動を停止させてもいいという例外規定があるとの立場だ。
同じような基準がある欧州では「キャッシュカイ」は規制に適合している。この点を説明してもいた。韓国環境部の判断が誤りだという内容だった。
この前後から、一部韓国メディアも急旋回する。
大手紙の「中央日報」は5月18日付で「日産のディーゼル車 同じ試験なのに韓国は“操作”英国は“そうでない”」という記事を1ページにわたって掲載した。
同じような基準で、同じような「例外規定」もある英国と韓国で、同じ試験をした「キャッシュカイ」について正反対の判断を下したという記事だった。
「東亜日報」にいたっては、「環境部は名誉にかけて日産車“ディーゼルゲート”を立証できるのか」という環境部に批判的な社説まで掲載した。
韓国環境部と日産との間の「論争」は、結果を待つしかない。環境部もきちんと調査して発表したはずだ。日産もこれだけ全面的に反論するのだから、根拠があるはずだ。
今回の問題を受けて韓国では、いくつかの点で改めて議論が起きた。
■2000年以降ディーゼル車が急速に普及
1つは、韓国ではディーゼル車の販売が急増した。その結果、大気汚染が深刻になったのではないか、という見方がメディアで繰り返し報じられている、政府の一貫しない環境政策のせいもあるのではないか、という批判の声おも出ている。
<中略>
2008年の実績だけでも日本などに比べるとはるかに高い水準だが、その後、ディーゼル車比率は、2012年に38.65%に上昇した。2013年には43.5%で初めてガソリン車を抜いてしまった。2015年には52.5%と初めて新規登録者の半数を超えてしまった。
特にここ数年急増したのが乗用車だ。2008年には総登録乗用車台数のうち、ディーゼル車は17.4%に過ぎなかったが、2013年には32.4%、2015年には44.7%になった。
どうしてこんなにディーゼル車が増えたのか。
■政府の支援も効果
1つは、2000年代以降、ガソリン価格の高騰で消費者が燃料費の安いディーゼル車に流れたことだ。さらに、ドイツ車を中心とした輸入車が「加速の良さ」などを売り物に販売を伸ばした影響がある。
もう1つ重要なことは、政府が、2009年から、一定の環境対策を講じたディーゼル車は「環境対応車」として、環境負担金の免除など「インセンティブ」を与えたことだ。
電気自動車や天然ガス車、ハイブリッド車などと同じように「環境対応車」としたのだ。
韓国メディアは、こうしたディーゼル車に対する優遇措置が大きな効果を上げたと指摘している。実際、2009年を契機に、ディーゼル車の販売が急加速している。
ディーゼル車は、二酸化炭素排出量がガソリン車に比べて少ない。2010年頃までは、韓国政府の環境問題に対する関心も、二酸化炭素排出量の低減に焦点があたっていた。
そういうこともあって、韓国では欧州並みに急速にディーゼル車が普及したのだ。
■大気汚染の深刻化で雰囲気一変
ところが、である。ここ1~2年ほどディーゼル車に対する視線が急激に変わってきた。
PM2.5の問題だ。
<中略>
最近、韓国で話題になったニュースがある。
米エール大とコロンビア大が共同で世界180カ国に大気汚染の実態調査をした結果、韓国は173位だったのだ。
空気が悪くなってきたことについて、政府は「中国発のPM2.5などの影響が多い」と説明してきた。
だから、一般国民も「中国のせいだ」と思っていた。
ところが、最近になって、韓国内にも原因があるという指摘が増えている。その主犯が火力発電所とともに、ディーゼル車だという主張が次々と出てきた。
ディーゼル車が排出する窒素酸化物と燃料の燃え残ったススが、大気汚染の大きな原因だということだ。
2015年に発覚したVW事件もあって、ディーゼル車に対する関心が高まり、同時に「これまでの自動車環境政策は正しかったのか」という疑問が強まっている。
自動車環境対策の主管はもちろん環境部だ。こうした声もあって、ディーゼル車の調査が始まったのだ。
■加湿器殺菌剤事件
実は、環境部にはいま、強い「逆風」が吹いている。
「加湿器殺菌剤」の問題だ。
<中略>
数々の疑惑が出て、韓国ではこのニュースが1か月以上連日大きく報じられている。
野党や市民団体は、一連の問題に対する環境部の責任も追及している。市民団体が事件発生時とその直後の長官などを告発したほか、現職長官の解任も求めている。
人間の安全や健康に直結する空気や化学品の問題だけに一般国民は敏感だ。環境行政に対する視線はどんどん厳しくなっている。
こういう時に起きた日産車の排ガス「不正」問題なのだ。
先の「東亜日報」の社説は、こう主張する。
「昨年9月にVWのディーゼル車が排出ガスを操作した“ディーゼルゲート”以降、日産に対する摘発は世界で2番目のことだ。環境部が加湿器殺菌剤の問題で国民の健康を疎かにしたという批判を浴びるや、日本のディーゼル車の排ガス操作を中途半端なままで断定したのだとしたら韓国の名誉が毀損されることになりかねない」
「グローバル企業が韓国を軽く見るような口実だけを与えたまま、この日産の問題をうやむやに終わらせる場合、環境部の看板を降ろすことも覚悟しなければならない」
日産の排ガス「不正」問題は、さまざまな背景から意外な展開になる可能性もある。
VWの排ガス問題が世界を揺るがしましたが、韓国政府が世界で2番目となる、日仏のグローバル企業日産の不正を摘発したと喧伝した日産のディーゼル車への疑惑。ところが、韓国と同じような基準がある欧州では合格とされるもので、韓国の環境部の判断が誤りだと、日産が全面否定。
韓国内では、日産叩きは見られず、むしろ、ディーゼル車の急速な普及が大気汚染の原因になっていることや加湿器殺菌剤の事故などをを受けて環境行政に対する疑問の声が強まっているのだそうです。
環境部が加湿器殺菌剤の問題で国民の健康を疎かにしたという批判が高まり、「家の中のセウル号事件」と政府の責任追及論が広まる中、VWの不正摘発に次ぐ日産の不正摘発で名誉回復しようと、焦って中途半端な理解・調査で走ってしまった可能性が高いとの指摘。
そこから議論は更に、大気汚染の進行に向かい、中国の「PM2.5」が原因で汚染が広まったと理解されていたものが、火力発電所とディーゼル車が主因だと判明し、韓国政府のディーゼル車優遇措置によるディーゼル車急増が招いた、窒素酸化物と燃料の燃え残ったススが大気汚染を拡大したと、政府の環境行政への非難が高まることになっているのだそうです。
国会での与党の大敗で指導力が低下し、レームダック化が進む朴槿恵政権。焦れば焦るほど泥沼にはまっている様ですね。
# 冒頭の画像は、総選挙の投票をする朴槿恵大統領(2016年4月13日)
韓国総選挙、与党惨敗のワケ 政権への警告、政局は大統領選に | JBpress(日本ビジネスプレス)
イヌザクラの冬芽
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