奈良井宿には限らないだろうが、地方では苗字より屋号の方が通りが良いということがあるようだ。都会でもお店には屋号があるのが普通だが地方ではお店でなくとも屋号を持っていることが多い。
昔士農工商の身分制度のもとでは苗字を名乗れるのは侍階級だけで、士分以外のものは特に認められたものが氏名帯刀を許される以外は、名前しか付けられなかったから、屋号をつけて識別しやすくするのは庶民の知恵だったのだろう。
時代が下って庶民も姓を付けられるようになっても、地方では一村全部が同じ姓だったりすることもあって、やはり屋号は必要だったから、未だにその習慣が残っているのだろう。
奈良井宿でもこのように氏名の表札の脇には表札より大きい屋号の札がどこの家にも掛かっていた。