伊藤正著 扶桑社刊
昨年のバレンタイン・デーから産経新聞に連載が始まったドキュメントが、いよいよ単行本になった。同年7月にその連載記事をこのブログで取り上げたが、上巻を再読し、改めて触れることにする。
'秘録'とは言うが、実は、内容の殆どは、中共中央文献研究室や党最高指導部が書き残した公刊の書籍からのものという。これだけ夥しい資料を渉猟した上で、まとめあげる構想力、精神力、筆力に驚嘆せざるをえない。
中国共産党による建国を果たした毛沢東の功績は、小平の改革開放・社会主義市場経済への転換の偉業の前には、かすんでしまうほどに思える。
石平(北京大・神戸大大学院・評論家・46歳)によるあとがき'私のみた小平、小平の時代と中国'の一節
「私達の世代にとって、小平は感謝すべき恩人であると同時に、憎むべき敵であり、追随すべき良き指導者であると同時に、反抗すべき暴君でもあった、そして、追随するにしろ反抗するにしろ、私たちの世代は結局、小平のその節々の政治的決断に翻弄されながら、小平のもうけた土俵の上で戦いを挑み、小平の敷いたレールの上で人生の道を走り、小平作り出した時代の波に乗ってゆく運命にあった」
現代中国を俯瞰するとき、最良の一冊である。
下巻の末尾になると思うが、「年譜」と「人名録」が備われば言うこと無し。
昨年のバレンタイン・デーから産経新聞に連載が始まったドキュメントが、いよいよ単行本になった。同年7月にその連載記事をこのブログで取り上げたが、上巻を再読し、改めて触れることにする。
'秘録'とは言うが、実は、内容の殆どは、中共中央文献研究室や党最高指導部が書き残した公刊の書籍からのものという。これだけ夥しい資料を渉猟した上で、まとめあげる構想力、精神力、筆力に驚嘆せざるをえない。
中国共産党による建国を果たした毛沢東の功績は、小平の改革開放・社会主義市場経済への転換の偉業の前には、かすんでしまうほどに思える。
石平(北京大・神戸大大学院・評論家・46歳)によるあとがき'私のみた小平、小平の時代と中国'の一節
「私達の世代にとって、小平は感謝すべき恩人であると同時に、憎むべき敵であり、追随すべき良き指導者であると同時に、反抗すべき暴君でもあった、そして、追随するにしろ反抗するにしろ、私たちの世代は結局、小平のその節々の政治的決断に翻弄されながら、小平のもうけた土俵の上で戦いを挑み、小平の敷いたレールの上で人生の道を走り、小平作り出した時代の波に乗ってゆく運命にあった」
現代中国を俯瞰するとき、最良の一冊である。
下巻の末尾になると思うが、「年譜」と「人名録」が備われば言うこと無し。