著 者 眉村 卓
出 版 社 新潮新書
頁 数 208頁
定 価 730円
目下評判の本。
夫婦の愛の形は、夫婦の数だけ在る。その膨大な中の一つの愛の軌跡である。
余命いくばくかの終末期の妻に、作家の夫は、妻だけに一日一話の作品を書く。枚数、内容にルールを設けたのは、妻への気遣いと作家としてのプライドか。
書いた原稿は5年間で1778本。ここに紹介されているのはそのうちの19本。それぞれに著者の《自己注釈》が添えられている。これが素晴らしい。夫にしか分からない妻の思い、心の揺れ、病への希望と絶望、書かれた作品の感想、夫への感謝。それらを夫が綴っているのだ。そして、それを気遣い、汲み上げ、応える夫の思い。心打たれる。
読後、まず、「さて・・」となる。自分はどうするか。どうなるか。何をすべきか。
何ともならんだろうと思う。それでいいのかとも思う。複数の出版社からロング・テイルで売れている。団塊の世代が思案しているのだろうか。