原 題 MOONLIGHT
制 作 国 アメリカ
上映時間 111分
監 督 バリー・ジェンキンズ
出 演 トレヴァンテ・ローズ、アンドレ・ホランド、マハーラシャ・アリ、ナオミ・ハリス
今年(第89回)のアカデミー賞作品賞。受賞式では、最後まで競った『ラ・ラ・ランド』が受賞と誤って発表され、それが手違いと確認された末に、正式に受賞が発表されるという、歴史的珍事付きの作品である。
黒人の貧困社会が舞台の性的マイノリティーにフォーカスした静謐な映画である。構成は、主人公シャロンの「幼少期」「少年期」そして「青年期」という3部構成。この下の画像は、顔の左が幼少期、中が少年期、右が青年期の相貌の一部である。
一人の俳優を成長に会わせて、それこそ幼少・少年・青年期と歳月をかけて撮ったものと初めは思い込んでいた。実は俳優3人である。それほど、佇まいと挙動と内在の心と会話に違和感がない。バリー・ジェンキンス監督は、その点に最も力を入れてオーディションを何度も重ねたという。見事キャスティングは成功した。
子供時代のシャロンにあたたかく寄り添い、手を差し伸べ、人生を教えた麻薬密売人フアンを演じたマハーラシャ・アリがいい。彼はこの役で助演男優賞。海でシャロンに泳ぎを教える長いシーンがある。現実の世界の競泳界に黒人は少ない。黒人世界は泳げる人の割合が少ないとの蘊蓄もある。何かの表出か。
黒色でマッチョで擬装金歯のシャロンが、かつて、心が通じる友だちで味方の、そしてただ一回の”男”だったケヴィンを訪ねて行く。人気のないドライブイン、そこそこの暮らしのケヴィン。二人は寄り添う。
アカデミー賞は、アメリカだからこそのイベント。黒人の制作・出演・キャストの受賞の皆無が、近年論争になって来た。一方で昨年来のトランプ現象もある。
アカデミー受賞、封切り4日目、日比谷の劇場、午後2時半過ぎ、七分の入りの客は、その殆どが年配者のペア。爺さんと婆さんが連れだって観に来てる。しかもLGBTQの映画。この世代の感性いいね。
若者のテレビ離れが著しい。だのにテレビは若者向け番組ばかりを造る。これにモノ申して倉本聰が、テレビ界に忘れられた俳優を配置して、昼間の連ドラを開始した。成功するだろうか。成功して欲しい。社会の流れを変えて欲しい。
リアルの映画館、観たい時に観れない。時間帯が合わなかったり、上映期間が短かったり。一方で儲かる映画に大動員を目論む。不便を託っているのは、私だけではなかろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます