著者 坂口安吾
出版 集英社文庫
頁数 257
2009年8月6日第15冊
3、40年前、時々読んでは元気を貰っていた。久し振りの安吾。
敗戦により日本は天地がひっくり返り、価値観が180度変わってしまった。その混沌の世に、安吾は、『生きよ、堕ちよ』と鼓舞したのだった。彼の心は、人間への限りない愛情に貫かれている。その飾らぬ直截な叫びが、読む者の心に響く。そして希望になる。
「戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。だが人間は永遠に堕ちぬくことはできないだろう。なぜなら人間の心は苦難に対して鋼鉄のごとくではあり得ない。人間は可憐であり脆弱であり、それゆえ愚かものであるが、堕ちぬくためには弱すぎる」。ここを立松和平は「『堕落論』の中で最も美しい文章であると指摘している。
『続堕落論』『日本文化私感観』『恋愛論』は、作品として社会評論として一級の仕上がり。骨太、掘り下げ、喚起と申しぶん無い。
反面、小説(だろうと思うが)の類はいまいち。意図は想像できるが、上手く表現出来ていない嫌いがある。しかしそれを差し引いても安吾の評価は変わらない。『堕落論』読むべし。
決して堕落そのものを勧めているのではなく、
大義からの堕落→個の自由、そこから生れる
真実の人間性、を志向しよう
→と感じました。
人間の生活は、個の対立の中にあり、それを政治で救えるわけがない。しかし、真実の人間の生活は、人間同士の個の対立の中にある。
→私の心情にマッチします。
堕落といっても、人間にできる限界があり、
人間にできることは、少しずつ良くなること。
→納得。救われる思いです。
勧めていただき、
ありがとうございました!!