著 者 柚月 裕子
出 版 中公文庫
頁 上巻 342頁 下巻 322頁
作品のために作家は取材をする。その際には厚い壁や高いハードル或いは差別・偏見などがあるだろう。性差もその一つ。警察物は男の世界、それを女性作家が取材する苦労は並大抵ではなかろうと思う。加えて今回は将棋という特殊な世界、より狭小な棋士に纏わる物語である。
事件の捜査について「鑑取り(かんどり)」、「地取り」「品(なし)割り」などの専門用語、将棋界の構造や棋士の生態、奨励会のシステム、盤上の駒の動かし方、ゲームの展開の予知、エトセトラ。これらを素人にも理解を進めつつ、推理小説としての興趣を高め、読者に満足感をもたらす技量は、さすがにこれまで数多くの文学賞を与えられてきた著者の面目躍如である。
読み進み、途中でホシのめぼしは容易につく。だからと言って面白さは減らない。どういう道筋でそこに落ち着くか。案の定、アッという予想外の展開があったりするのだ。
残念ながら、同名のNHKの番組は見逃してる。果たして映像化された時の俳優は如何なものか。そのイメージを楽しみながら読んだ。以下は、ブログ主が選んだ配役である。今回もお遊び。
石破刑事:佐藤二郎、 佐野刑事:神木隆介、 圭介:松坂桃李、 唐沢:小日向文世、 その妻:原日出子、 庸一:江口洋介、 東明重慶:永瀬正敏。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます