浅田次郎原作の『蒼穹の昴』がNHKのハイビジョンで始まった。
『坂の上の雲』程には話題になっておらず、『竜馬伝』のような宣伝もない地味な扱いだが、上質な迫力満点の番組である。
「よくこんな番組をつくれたなあ」というのが実感。
原作の時代や舞台、登場人物、歴史考証、規模などからしても、映画化は、とても無理だと思っていたのだが。テレビがやるとはね。
日中共同制作で、実現化に漕ぎつけたのだが、スタッフもキャストも中国が多い。
が、西太后役は田中裕子。「おしん」で中国にも熱烈なファンが多く、キャスティングでは両国一致したという。なるほど、優しさ、強さ、狂気、風格、年格好など、適役である。
ベルトナルド・ベルトルッチの『ラスト・エンペラー』によって、世界は、清朝末期の絢爛と廃頽と悲劇を目の当たりにした。権力が築き上げた華麗な世界の崩壊のドラマを知った。
毎週日曜日の1時間番組。全25回放送予定。あの『ラスト・エンペラー』で堪能した紫禁城の世界、胡同、宦官、そして壮大かつ悠久の歴史が、25回にわたって楽しめるのだ。
果たして、中国が浅田次郎の中国三部作をどう見ているかは、気になるところだが、これはこれで『坂の上の雲』『竜馬伝』の陰に隠れたNHKの野心作であることは間違いない。
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