この頃、休みの日にドライブに出かけることは少なくなった。で、今回は小田急で江の島に出掛ける。
学生時代に海の家でアルバイトをした江の島は我が青春の代名詞。無性に身を置きたくなって、年に2,3回は出かける。
バイト先は、橋のたもとから西浜4件目の『四季春』。よしず張りの二階建て。午前中は客の呼び込みが中心、午後は五右衛門風呂を沸かしたり、ラーメンを出したり皿を洗ったり、お客の衣類の出し入れも。
当時は無かった橋の元から出る”渡し船”に乗って、裏側の洞窟下岩屋まで運んで貰う。片道400円。20分置きの出航。
波と思っていた飛沫は雨。ポツリポツリと来始めて、一応持ってきた折りたたみ傘を差すか差さぬかどうしたもんかと逡巡しているうちに岩場に舟が着く。
岩場を上に向かって歩くうちに雨が上がる。厚い雲が払われていくらか西に傾きかけた初夏の陽光がまぶしい。
江の島と言えばさざえ。後は下るだけの気楽な気分。いつも利用する富士見亭が満員のため、近くの小奇麗な店に入る。
さざえの醍醐味は、何と言っても殻の底に残った焼き汁。これ以上の磯の香りは無かろうと独断している。ビールにはまぐりにおでん。旨かった。
駅舎の佇まいは、50年来不変。発着の電車が時代のテンポに遅れまいと、脱皮に脱皮を重ねていくのと好対照だ。
次に来るのは、夏の喧騒が去った初秋にしよう。
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