冒頭、パリの街のカットが次から次へと現われる。バックの音楽はシドニー・ベシェーのソプラノ・サックス、それもソロ。もうたまらない。
物語の中では、ジャンゴ・ラインハルトのギターがここぞのシーンで流れてくる。ノック・アウトである。
アメリカ人の脚本家が婚約者の家族とともに観光するパリで、1920年代にタイム・スリップ。
午前零時に現れるプジョーのクラシック・カーに乗せられて、とあるパーティーに案内される。そこには”黄金時代”の芸術家や文化人たちが飲み・語り・酔う夢のような世界。
ジャン・コクトー、コール・ポーター、F・スコット・フィッツジェラルド夫妻、ジョセフィン・ベーカー、アーネスト・ヘミングウェイ、ガートルード・スタイン、パブロ・ピカソとその愛人ゼルダ、サルバトール・ダリ、ルイス・ブニュエル、マン・レイ、ロートレックなどなど。
スコットとゼルダのフィッツジェラルド夫妻 ダリ
アーネスト・ヘミングウェイ(中)ガートルード・スタイン(右) ロートレック
分り易い筋立て、テンポのよい展開、粋でしゃれたディーテイル、知的な会話、オールド・ファッション、それにクラシック・ジャズ。ウディ・アレン全開の大人のおとぎ話。
この映画制作時のサルコジ・フランス大統領夫人のカルラ・ブルー二が美術館の案内人役で出演のサービスもある。
アドリアーナ役のマリオン・コティアールがいい。あの『エディット・ピアフ~愛の賛歌』でアカデミー賞主演女優賞の4年後の作品になる。
ウディ・アレンが力を抜いて、好き勝手に自分の好きな世界を自由に描いた、その得意な姿が真っすぐ伝わってくる。
※8年前にもこのブログにアップしていました。とはいえ好きな作品なので敢えて再びアップします。
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