Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

音楽

2022-01-09 | 日本映画(あ行)
★★★★ 2019年/日本 監督/岩井澤健治

声優坂本慎太郎に惹かれ、原作漫画はまるで知らずに鑑賞。ただただベースとドラムが鳴ってるだけでグルーブが生まれる。そのプリミティブな高揚感が独特のタッチと合間って、不思議な魅力を放つ。アニメ化には多大な時間と努力があったようだが、それを前面に出さない抜け具合もクールでいい。

DOPESICK~アメリカを蝕むオピオイド危機~

2022-01-09 | TVドラマ(海外)
★★★★★

大傑作。 処方通りに服用して依存症になる患者の地獄、それを処方した医師の悔恨、虚偽のデータで莫大な富を築く一族の骨肉の争い。地を這うように捜査するDEAや地方検事。オピオイドの恐ろしさと巻き込まれる人々の重厚な人間ドラマにただただ圧倒された。

マイケルキートンとケイトリンデヴァーは本作でゴールデングローブ賞にノミネート。しかし、それ以外のキャストもすばらしくて役者陣みんなベストアクトでは?というくらいの熱演。特に私はピーターサースガードを推したい。

ロスト・ドーター

2022-01-09 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★ 2021年/アメリカ 監督/マギー・ギレンホール

単身避暑に来たレイダ。海辺での少女の迷子をきっかけに若かりし頃の子育ての記憶が呼び覚まされる。悔恨と懺悔の意識。乱れに乱れる心。タイトルにある「ロスト」が二重三重の伏線となり、母の役割とは母性とはを突きつける。知性と危うさが共存するオリビアコールマンが圧巻。

ノッティングヒルの洋菓子店

2022-01-09 | 外国映画(な行)
★★★☆  2020年/イギリス 監督/エリザ・シュローダー

3世代の女性が協力し合い洋菓子店を経営する人間ドラマ。とにかくノッティングヒルの街並みが絵になる。そして美味しそうな洋菓子の数々。祖母ミミが住む家も本当にステキ。移民の多い街ロンドンならではの展開と街、食、家の美しいショットの三拍子揃う良作。

「ノッティングヒルの恋人」が好きな人はきっとこの映画も満足じゃないでしょうか。街も登場人物の1人のように大事な要素なんですよね。どこを切り取っても絵になる。数年前に訪れた時は残念なことに土砂降りで…。絶対リベンジしに行きたい。

POSE シーズン2

2021-10-29 | TVドラマ(海外)
★★★★☆

1991年。マドンナのVOGUEに始まりチャカカーンのI'm EVERY WOMANで終わる完璧な音楽構成。リアタイで聞いていた世代としてはクソミソに泣けた。エイズの蔓延、アクトアップ、人権問題。もがきながらも前に進む人物たちの成長譚。とにかく1話1話の内容が濃密!大感動。

トランスが殺されても警察は1ミリも動かない。エイズへの偏見。商売を邪魔する白人。酷い仕打ちばかりが彼らを襲うが、それでも煌びやかなボールの世界で彼らは輝く。S1で感じた美しさを評価するのは現代にフィットしていないのでは?という違和感も見事に回収。すばらしすぎる。

くれなずめ

2021-10-27 | 日本映画(か行)
★★☆  2021年/日本 監督/松居大悟

男達のしょーもないわちゃわちゃが本当にしょーもないわちゃわちゃとしか感じられない。喪失を埋める方法が悪ノリというのも時代に逆行しているよう。種々の回想がインサートされるが号泣する程の絆があったかも判然としない。そして全編に漂う何も動いていないような停滞感がキツかった

ここで示されるわちゃわちゃには批評的視点があるのだろうか。それすらもわからない。奇しくも悪ノリを批評的に描いている(と私は感じた)「あの頃。」と対照的。構成されるものの全てが断片的で、全体をつなぐ線が見えてこない。停滞して見えるのはそういうことからかも知れない。

アオラレ

2021-10-27 | 外国映画(あ行)
★★★  2021年/アメリカ 監督/デリック・ボルテ

あおり運転の話ではない。1人の狂人にうっかり目をつけられ異常な執着で追い回されるホラーだ。冒頭の何気ない会話が収束の伏線になるあたり、王道のジャンルホラー。「早く警察呼べよ〜」というツッコミ前提で見るのが肝要。しかし、目をつけられたら最後という恐怖は十分味わえる。

ファーザー

2021-10-20 | 外国映画(は行)
★★★★☆  2020年/イギリス・フランス 監督/フロリアン・ゼレール

映画が始まってすぐアンソニーの混沌世界が提示される。この人は誰?ここはどこ?認知症の描写が観客にとってサスペンスになる面白さ。そしてその混沌が一つの世界線にまとまった時、観客は老いることの悲しさを知る。様々な時空をのびやかに演じるサーホプキンスの演技を堪能。

3年前に亡くなった父も認知症だったので、この手の作品は避けていた。どうしてもアン目線で見て、様々な後悔が頭をよぎる。ただ、本作は観客をエモーショナルにさせようという意図がないのがいい。かと言って冷たいかと言うとそうでもなく、多くの人々の慈愛を見せてくれる。

パーム・スプリングス

2021-10-20 | 外国映画(は行)
★★★☆  2021年/アメリカ 監督/マックス・バーバコウ

タイムループは「自分の未来がわかった時、人はどう生きるか」を描くジャンルとも言える。本作はこのままでいいという選択肢を示すところがユニーク。謎の老人が時々(これがミソ)襲撃に来るというスパイスもある。現状維持か可能性に挑戦するか。ラブコメの秀作。

物語が円環構造で閉じた世界なのに対し、舞台は青い空が抜けるリゾート地。そのコントラストが効果的。こんな所ならタイムリープも悪くない。もう何千回もこの世界を生きているというナイルズ。その心地よさが永遠に続くならそれでもいい。これって不老不死のテーマでもある。

追想

2021-10-20 | 外国映画(た行)
★★★★  1975年/フランス 監督/ロベール・アンリコ

ナチスに妻と娘を殺された男の復讐劇。自身が生まれ育った古城に立て籠もり、一人また一人とナチを殺す。そのプロセスの度々に妻と娘との美しい思い出がインサートされる展開が独特。何と言ってもロミーシュナイダーの美しさよ!イングロリアスバスターズの参照作品とも言えるトラウマ作品。

冒頭のんびりした曲に親子がサイクリングする映像で始まる。これが復讐物なの?というのどかさ。そしてその後のナチスの残虐な村人皆殺し行為。コントラストが強烈。妻の死体を見た夫が頭の中で殺された瞬間を想像するシーンを入れるというのもユニーク。鑑賞者も夫と共に復讐の思いをたぎらせるのだ。

Swallow スワロウ

2021-10-15 | 外国映画(さ行)
★★★★  2019年/アメリカ カーロ・ミラベラ=デイビス

カラフルで美しく鮮やかな映像にぐんぐん引き込まれた。夫のモラハラは物語の中心ではなく、実は妊娠恐怖が主題だった。そう来たか。子を宿したとき、女性は命をこの世に送り出すことの重さに対峙せざるを得なくなる。異食症は特異だが普遍的な物語だ。とても面白かった。

食べた後の描写に驚き。いや、でもそれなんかわかる。自分の体を通っていったものって愛しいよね。ハンターにとって異食は対象への自傷行為でもあり、愛したい行為でもあったのではないか…などと想像してみる。女性用○○を延々と映すラストカットも様々な含みを帯びており、巧い。

Girl ガール

2021-10-14 | 外国映画(か行)
★★★★  2021年/ベルギー 監督/ルーカス・ドン

女性になるために、バレリーナになるために、血の滲むような努力を続けるトランスジェンダーのララ。ドキュメンタリーのような手法がさらにその痛々しさを増幅させる。周囲の大人は親身だし理解もある。それでも突き当たる壁。ララの悩みもがく姿とひたすら受け止める父に心打たれた。

懲戒免職

2021-10-13 | 日本映画(た行)
★★★★   2006年/日本 監督/渡邉あや

もし高校に気だるいオダギリ先生がいたら、確実に自分の男性観は狂っていただろう。峰不二子を黒板に描くオダジョーの危うさよ。彼を見つめる吉高由里子の瑞々しさよ。15分と言わず120分で観たかった。両者メゾンドヒミコ、紀子の食卓時代。美しさと儚さ全盛期の逸品。

妖精たちの森

2021-10-13 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★☆  1972年/イギリス 監督/マイケル・ウィナー

英国の郊外の大邸宅。下男と家庭教師の淫らな肉体関係。それを日々覗いている幼い姉弟。愛することは憎むこと。愛するものは死をもって繋がる。下男を慕う姉弟は彼らの言動を真似、無邪気な狂気を振るう。いわゆるアンファンテリブルものだが性描写も赤裸々でトラウマ納得の逸品。

本作後にラストタンゴinパリ撮入のMブランドのただならぬ妖気と、子供の心を持ったまま大人になった下男の人物造形が面白い。姉弟がどんどん感化される様は子育ての恐ろしさも感じさせる。そして汚らわしい男だからこそ惹かれる家庭教師の倒錯した愛。愛と憎しみ、清らかと汚らわしさの混沌。

007 ノー・タイム・トゥ・ダイ

2021-10-13 | 外国映画(た行)
★★★★☆  2021年/アメリカ 監督/キャリー・ジョージ・フクナガ

賛です。ダニエルボンドのフィナーレとして大いに堪能。3ヶ月ぶりの映画館ということもあり、大画面で聞くあのテーマソング、めくるめく世界美紀行、リヌス・サンドグレンによるバチバチに決まったショットに大満足。とにかくダニエルクレイグお疲れ様!のための167分ですね。

ボンドという人間の一生を5部作のラストとしてよくぞまとめたなと感心。パロマもマドレーヌもそれぞれの美しさを存分に発揮。ラミとボンドの最後のアレはウルトラセブンオマージュ?と思ったのは私だけでしょうか。豪華ディナーいただいたようで満腹。おいしゅうございました。