Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

地下鉄道 自由への旅路

2021-08-31 | TVドラマ(海外)
★★★ AmazonPrime

バリージェンキンス全話監督で話題だが私の肌には全く合わず。特に撮影が好みじゃない。クレーンによる移動ショット多すぎ問題(お尻ムズムズ)、逆光ショット多すぎ問題(目がチカチカ)。狙ってやってます感が無理。超高画質カメラで映像はキレイだけどさ。

ムーンライトのように、カラーコーディネーションが徹底的に行われている。しかしだよ。基本地獄めぐりの話で、黄色や茶色を中心としたくすんだ色目のカラーコーディネーションが続くので正直、気が滅入ってしまった。黒人奴隷解放前にもしも本当に地下鉄道があったなら。設定は面白いんだけどなあ。

弁護人

2021-08-30 | 外国映画(は行)
★★★★☆ 2013年/韓国 監督/ヤン・ウソク

学歴コンプレックスを抱く税務弁護士がお世話になったクッパ店の息子のために立ち上がる。一見ベタなストーリーの予測を遥かに超えてくる迫力の展開。正義のために闘う、その真っ当さがいかに困難な時代だったか。胸が痛くてたまらない。後半は鬼気迫るソンガンホにやられっぱなしだった。

だいたいこの手の作品は悪い奴がムカつくほどにヒートアップするのだが、本作のクァク・ドウォンの悪人ぶりもある意味期待通り、いやそれ以上。まさに蛇の目。睨まれたら終わりの感満載。自国の歴史に堂々と斬り込み、娯楽作品に仕上げる韓国映画。どれを見てもハズレなし。



EXIT

2021-08-27 | 外国映画(あ行)
★★★☆ 2019年/韓国 監督/イ・サングン

毒ガスを避けるためビルからビルへと逃げるというアイデアが面白い。次から次へと襲い掛かる難題にもひねりがあって飽きさせない。感動シーンにもユーモアを交えてくるのがいかにも韓国的。肉体派俳優でなくても、ちゃんとアクションを魅せる。韓国エンタメ映画は裾野が広いね。

コラテラル 真実の行方

2021-08-26 | 外国映画(か行)
★★★★☆ Netflixドラマ

傑作。デビッドエアー脚本、キャリーマリガン主演の骨太ポリティカルサスペンス。全4回なので長めの映画を見たよう。タイトで緊張感あふれる演出、警察・陸軍・MI5の三つ巴のスリリングな駆け引き。そして重要人物は全て女性。驚くほどに抑えた演出がBBC印。

中東移民問題を幾度となく扱ってるBBCドラマだが、配信されるもの全部傑作ってどうなってるんでしょうか。妊娠7ヶ月の刑事を演じるキャリーマリガン。なんと撮影中実際に妊娠していたとか。陸軍将校役も女性だが単なる目配せではなく、女性であるべき意味がしっかり落とし込まれており何度も膝を打つ。

一人の移民青年の殺人事件をきっかけに、解決への道があっちに行ったりこっちに行ったり、最後の最後に大逆転。それをこれ見よがしに見せないのがほんとBBC!これがアメリカなら「どうだー!」みたいな演出になるはず。静かにロンドンタクシーに乗ってキャリーが去っていく。渋い。渋すぎる。

新感染半島 ファイナル・ステージ

2021-08-25 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 2020年/韓国 監督/ヨン・サンホ

シチュエーションホラーからサバイバルアクションへ。父性愛から母性愛へ。大ヒット作の続編として文句のつけようのない舵の切り替え。マッドマックス的な世界観にロメロオマージュもチラリ。壮絶なカーチェイスは息を呑む。見事な娯楽大作。面白かった!

前作の方がいいという声をチラホラ聞き、躊躇していたけど、いやあ痺れた。ゾンビと人間の鬼ごっことか、設定が実に面白い。漫画的ではあるがディテールの作り込みがしっかりしてるので世界観にハマれる。母親を軸にしたのも良かった。トラックのクラクション鳴らすところで危うく泣きそうに。

アメリカン・スリープオーバー

2021-08-24 | 外国映画(あ行)
視線の映画だ。高校生たちの一夜の群像劇を視線と余白で物語る。アメリカンとタイトルについているが、まるでヨーロッパ映画のような佇まい。しかもスクールカーストから全く解放された世界観。手を繋ぎたい、キスしたい。若者たちの甘やかな願望が夜の狭間に潜めく。

原題は「The Myth of the American Sleepover」。Mythに込められた意味は何だろうと想像してしまう。一目惚れの女性を探す少年、双子女子が好きな大学生…etc。まるで真夏の夜の夢のようにくっついたり離れたり。「今日はいろいろあったからキスはもういいわ」。16歳の粋なセリフに痺れた。

本作で感心したこと。それは少年たちが必ず「手を握ってもいい?」「キスしてもいいかな?」と聞くことだ。監督の願望込みの脚本か、それともこれが今の米国のリアルなのか。いずれにしろ、意図的な演出と思われ。ブックスマートのノリノリ感とは違うがワンナイトパーティを扱った秀作には違いない。




悪の教典

2021-08-24 | 日本映画(あ行)
★★★ 2012年/日本 監督/三池崇史

美青年期の林遣都目当てに鑑賞。やっぱ大人が子供を皆殺しにするのは見ていて気持ちのいいものではないね。一人ずつターゲットを絞り殺しにかかる前半部はサイコパスものとしての面白みがあったが後半の大量殺人は全くノレず。今見ると、松岡茉優など生徒たちがすごい豪華キャストで驚き。
あと、このミス1位って言うけど、この話のどこがミステリーなの?原作からだいぶ変わってるのかなあ。

朝が来る

2021-08-22 | 日本映画(あ行)
★★★★☆ 2020年/日本 監督/河瀬直美

我が子を手放さなければなかった少女の悲劇的な運命と養子に迎えた我が子を慈しむ夫婦の生き様。ドキュメンタリーとフィクションの境目がない演出が効果的で直球の感動をもたらしてくれる。この演出によって全ての出演者が私たちのすぐそばにいるようなリアリティを持って迫ってきた。

なぜ父親である少年の人生には何事も起きず、少女だけが全ての苦を背負うのかと怒りにも似た悲しみを感じずにはいられない。それだけ、蒔田彩珠がすばらしかったのだが。彼女を筆頭に全ての役者の佇まいがいいが、中でも浅田美代子が出色。養子縁組のセミナーシーンは本職の人ではないかと疑うほど。

ヤクザと家族 The Family

2021-08-19 | 日本映画(や・ら・わ行)
★★★★☆ 21021年/日本 監督/藤井道人

なんと切ない物語か。ケン坊という孤独な青年の一生を軸に、その背景である日本社会の変化を描き出す。個人と日本社会、この2つのテーマを融合させる脚本が見事。助手席のカメラがそのまま急ハンドルで衝突し人物を捉えるなどのワンカットの迫力ある撮影もすばらしい。

19歳から39歳まで20年間の人生を生き切った綾野剛の演技が圧巻。元陸上選手の身体能力が存分に活かされている。車に撥ねられるシーンもスタントなしのようでその気合がびんびんに伝わる。舘ひろし、磯村勇斗も出色。カーネーション熱狂ファンなので綾野剛と尾野真千子が同じ画面に収まるだけで胸熱。

公開時、西川美和「すばらしき世界」と並べて評価されていたのがよくわかる。同じテーマでラストが真逆。西川美和独特の物事を斜めから見るような皮肉な視線と違い、本作は正面突破。綾野剛の熱演もあり20年の歳月の重みがずっしりと伝わる。私は本作の方が好きかもしれない。綾野剛、主演男優賞決定。


オッドタクシー

2021-08-17 | TVドラマ(日本)
伏線回収のカタルシスのためにだけキャラクターが存在しストーリーが動く作品は好きじゃない。そんなひねくれた視聴者の存在も見透かしたかような見事なエンディング。孤独な者達が東京の夜の街で交錯する。キャラクターが動物という事が様々な想像を掻き立てる、その独創性が秀逸。

フランティック

2021-08-16 | 外国映画(は行)
旅先のパリで妻が失踪。夫は事件に巻き込まれていく。異邦人へのパリの人々の不親切さが絶妙にリアル。80年代欧州旅行した時、パリ人それはそれは素っ気なかった。妻がさらわれる作品をポランスキーが撮るとなるとまた違った味わい。そしてパリを彷徨うHフォードがやけに色っぽい。

レゲエやグレイスジョーンズなど、一見パリとはそぐわない選曲がさらに独特の世界観を作り上げている。ポランスキーのセンス、としか言いようがない。

大統領の料理人

2021-08-16 | 外国映画(た行)
★★★☆ 2012年/フランス 監督/クリスチャン・バンサン

料理はおいしそうでいいが、宮廷料理界に一石を投じるような展開にはならず。かなりゆるめの展開。確かにプライドの高い男たちが集う厨房でオルタンスの存在は異質なのだが、よくある小競り合いで終始しているのがもったいない。料理の仕方ではもっと面白くなったような気がする。


恐怖のメロディ

2021-08-16 | 外国映画(か行)
★★★☆ 1971年/アメリカ 監督/クリント・イーストウッド

バーで引っ掛け一夜を共にした女。翌日から彼女気取りで狂気のストーキング。完全に一線を超えた女の思い込みが怖いのなんの。何度も命を狙われる展開は完全にホラー。刃物を振り回すシーンがまんまサイコなのは笑った。御大イーストウッドもヒッチコック演出をしていたんだと感慨。

今やミソジニー映画として名高い危険な情事の元ネタとも評される本作。確かに女は怖いという印象の植え付けもなくはないが、イブリンが元々DJであるデイブのファンであるため、純粋にストーカー恐怖を描いているように感じられる。熱狂的ファンの暴走という視点では、ミザリーの方が近いのではないか。

激動の昭和史 沖縄決戦

2021-08-15 | 日本映画(さ行)
★★★★★ 1971年/日本 監督/岡本喜八

とめどなく続く爆発と炎上にそれを裏打ちするデータがかぶさる。容赦ない残酷描写と演者たちから漂う悲壮感。鑑賞者も沖縄の火の中に放り込まれる。戦争の惨さや軍人の無力さに気持ちも沈むが、キレのいい編集で一気に見せる岡本喜八の手腕。戦争大作の大傑作。

その場を生きているかのような俳優陣もすばらしいし、時折インサートされる兵士たちの遺書に胸が締め付けられる。それらはあまりに生々しい。戦時期を生き抜いた人間だからこそできる演出ではないだろうか。沖縄戦終結が6月末。それでも原爆投下を抑えられなかったのはなぜかと考えずにはいられない。

ジョン・ウィック パラベラム

2021-08-14 | 外国映画(さ行)
★★★☆ 2019年/アメリカ 監督/チャド・スタエルスキ

犬が撃たれてブチギレアゲイン。ストーリーはもうどうでもよくて、最先端の格闘アクションの博覧会と思って楽しむ。特に犬を交えたシーンは発明!圧巻。鑑賞中何度も「いてえ!」と連呼。これほど痛みを感じさせるアクション映画はない。真田広之出演の次作が楽しみ。