Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

オールド

2022-06-05 | 外国映画(あ行)
★★★☆  2021年/アメリカ 監督/M・ナイト・シャマラン

突然時間のスピードが早まる海辺に連れてこられた家族たち。異常に年老いてしまうという絵面の引きで引っ張るネタ系映画と思いきや、SFホラーであり、家族の物語であり、時間をめぐる哲学的な物語でもあり、どの角度からでも楽しめる懐の広さ。シャマランこんな余裕のある映画取れるようになったんだ。ちゃんとオチも付いてる抜かりのなさ。

愛すべき夫妻の秘密

2022-02-09 | 外国映画(あ行)

ルシルボールという女優、およびその人気のテレビ番組というものを知らないため、何が何だかさっぱりわからず。前提知ってる状況でどんどん進むの、ちょっと不親切設計過ぎやしませんかね。JKシモンズ、このちょい役でノミネートなの?こんな置いてけぼり映画久しぶりだわ。

ウォルト・ディズニーの約束

2022-01-31 | 外国映画(あ行)
★★★★ 2013年/アメリカ 監督/ジョン・リー・ハンコック

メリーポピンズに詳しくなくても大丈夫。偏屈な英国中年女とアメリカ人富豪の交流を描いた上質な作品。様々な対立が溶けていく、主演2人の演技はさすがの貫禄。原作者と製作委員会の物語でもあるので、その攻防は映画ファンとしても楽しめる所。エマトンプソンが最高。

原作者パメラの過去が映画製作の現在と交互に描かれるが、このオーストラリアパートが涙を誘う。父が押しつぶされた男らしさ、その呪縛を娘が書くことで解放したというメリーポピンズの原点話。またメリーポピンズを見返したくなった。

アオラレ

2021-10-27 | 外国映画(あ行)
★★★  2021年/アメリカ 監督/デリック・ボルテ

あおり運転の話ではない。1人の狂人にうっかり目をつけられ異常な執着で追い回されるホラーだ。冒頭の何気ない会話が収束の伏線になるあたり、王道のジャンルホラー。「早く警察呼べよ〜」というツッコミ前提で見るのが肝要。しかし、目をつけられたら最後という恐怖は十分味わえる。

女は男の未来だ

2021-09-16 | 外国映画(あ行)
★★★★  2004年/韓国 監督/ホン・サンス

女はいつも男を慰め、やらせてくれる。男の無自覚の最低行為がこれほどつまびらかにされる映画が他にあるだろうか。同じ女性と性行為をした男たちの連帯感。価値観の押し付け。勝手な思い込み。普通の男の罪深さはすでにホン・サンスによって2004年に表現されていた。

ホンサンスの飄々とした作風により、彼らの「自分は悪いことしているとはこれっぽっちも思っていない」感が前面に出てくる。クソエピソードの連発だが「清楚で大人しそうなところを好きになったのに、派手なパーマをかけて来たのを見て肩を落とす」という場面が秀逸すぎる。

EXIT

2021-08-27 | 外国映画(あ行)
★★★☆ 2019年/韓国 監督/イ・サングン

毒ガスを避けるためビルからビルへと逃げるというアイデアが面白い。次から次へと襲い掛かる難題にもひねりがあって飽きさせない。感動シーンにもユーモアを交えてくるのがいかにも韓国的。肉体派俳優でなくても、ちゃんとアクションを魅せる。韓国エンタメ映画は裾野が広いね。

アメリカン・スリープオーバー

2021-08-24 | 外国映画(あ行)
視線の映画だ。高校生たちの一夜の群像劇を視線と余白で物語る。アメリカンとタイトルについているが、まるでヨーロッパ映画のような佇まい。しかもスクールカーストから全く解放された世界観。手を繋ぎたい、キスしたい。若者たちの甘やかな願望が夜の狭間に潜めく。

原題は「The Myth of the American Sleepover」。Mythに込められた意味は何だろうと想像してしまう。一目惚れの女性を探す少年、双子女子が好きな大学生…etc。まるで真夏の夜の夢のようにくっついたり離れたり。「今日はいろいろあったからキスはもういいわ」。16歳の粋なセリフに痺れた。

本作で感心したこと。それは少年たちが必ず「手を握ってもいい?」「キスしてもいいかな?」と聞くことだ。監督の願望込みの脚本か、それともこれが今の米国のリアルなのか。いずれにしろ、意図的な演出と思われ。ブックスマートのノリノリ感とは違うがワンナイトパーティを扱った秀作には違いない。




アナザーラウンド

2021-08-10 | 外国映画(あ行)
★★★☆ 2020年/デンマーク 監督/トマス・ビンターベア

飲酒で乗り越えられるかミッドライフクライシス。アルコール摂取を機に中年男4人組が自身の弱さに向き合う物語。様々なものに被せてきた蓋が開き、少しずつ気づく大切なこと。人間の脆さと輝きが飲酒を媒介に交互に映し出される。

ただしデンマークの飲酒事情は事前に知っておいた方がいい。16歳から購入可能、高校生の飲酒は日常。アルコールとの距離感が日本とは全く違うからだ。飲酒に対する価値観によってエンディングの感想も異なるはず。しかし、監督の悲しい経験に思いを馳せれば「これは存分に生きよ」だ。沁みる。

エルカミーノ ブレイキング・バッド THE MOVIE

2021-08-08 | 外国映画(あ行)
★★★☆ 2019年/アメリカ 監督/ビンス・ギリガン

ブレイキング・バッドファンにとっては、ウォルターと決別してしまったジェシーへの想いって、すごい大きいんだなと言うのを実感。ウォルターはやりたいことやって死んじゃったけど、本懐を遂げたという感じだったから、ジェシーもまた自分の道を見つけましたよ、ということをファンに見せる必要があったんだよねー。ドラマ終了後のモヤモヤを収めるための1本とも言える。

エイス・グレード

2021-07-26 | 外国映画(あ行)
★★★★ 2018年/アメリカ 監督/ボー・バーナム

無口賞(ひどい賞だ)に選ばれるほどクラスに馴染めないケイラ14歳。カメラは彼女のうつむきがちに歩く丸まった背中を追い続ける。まだまだ子供、でも背伸びをしたい年頃。自分晒しが日常の現代の中高生、そのもどかしく切ない様をリアルに描く秀作。

高校生のお姉さんと友達になれたのに、辛い出来事が起こる。ケイラの性格をわかって漬け込む男の加害性を描くこの監督、信用できる。そして竜そばで「まずは父と対話じゃないのか」と憤慨してたら、まさに本作はそれがターニングポイントとして描かれており、嬉しくて膝を打った。

オクトパスの神秘 海の賢者は語る

2021-07-10 | 外国映画(あ行)
★★★☆ 2020年/アメリカ 監督/ピッパ・エアリック ジェームズ・リード

ダイオウイカが大ヒットしたように海洋生物の生態というのは本当に興味深くて、天敵から逃げるタコの映像は実にドラマチック。それは大いに見る価値アリなんですが。心に問題を抱える主人公の再生という点においては、甚だ違和感を覚えて入り込めないのだった。

その理由は彼を撮影する第三者の存在。オレは心に傷を追って海に入るようになった…と言われても彼の背中を追い続けるカメラがあるからね。最初からそういうストーリーでは?という居心地の悪さが終始つきまとう。タコの生態を追った映像は本当にすごいんだけど。


アメリカン・ユートピア

2021-06-26 | 外国映画(あ行)
★★★★★ 2020年/アメリカ 監督/スパイク・リー

最高! キャッチコピーの「一生に一度の至福の体験」は間違いではない。一人ひとりのパフォーマーがキレキレの演奏で極上の音楽をもたらす。ワイヤレス環境で縦横無尽に舞台を動き回る、その美しさ。斬新な演出、ダンス、照明。まさに総合芸術。Once in a lifetimeで号泣。

正面、俯瞰、ロング、クロースアップ。ライブの臨場感をビシバシ伝えるカメラがすばらしい。劇中カメラは全く映り込まず、没入感も相当なもの。ほとんどライブに行けない日々が続く今、こんなすばらしいものを見せてもらえたことに感謝。最新の技術がもたらしてくれる最高のライブ体験。必見。

悪人伝

2021-06-15 | 外国映画(あ行)
★★★☆ 2019年/韓国 監督/イ・ウォンテ

まんまアウトレイジなオープニングにニヤつく。ヤクザと刑事とサイコパスが三つ巴で血みどろ合戦。マドンソクの厚みに圧倒され、勢いだけで突っ走るかと思いきや、死刑制度にも切り込む。科捜研みたいな2時間ドラマなノリもご愛嬌。全部載せでお腹いっぱいにさせてくれる韓国エンタメに満足。

オーシャンズ8

2021-06-07 | 外国映画(あ行)
★★★ 2018年/アメリカ 監督/ゲイリー・ロス

いろいろとヌルい。このヌルさが作品の魅力になれば良かったがそうはいかず残念。女性だけで作ること自体に意義はあると思う。が、これだけのメンツを集めるのなら、それぞれの俳優の個性をさらに際立たせたり、意外性を持たせるような挑戦があっても良かった。もったいない。

ケイトブランシェットのメンズライクな出で立ちはお約束だったと思われ。この徹底したイケメンぶりは見たいものが見れた満足感はある。ただ、それでもなあ。もうひと押し、ふた押し足りない。特にアンハサウェイの扱いが雑な脚本どうなの。キャストが集まった時点で息切れしたのかと勘ぐりたくなる。



ANNA アナ

2021-06-02 | 外国映画(あ行)
★★★☆ 2019年/アメリカ・フランス 監督/リュック・ベッソン

トップモデルがアサシンという漫画な世界観を何の引け目もなくド直球に差し出す、その潔さ良し。ゴージャスなファッション界と裏切りに裏切りが連なるスパイ界の掛け合わせ。レズビアン設定までありベッソンの「こんなん作りたかってん!」の声が聞こえる。ツッコミどころも味わいの快作。

本作でいちばん惹かれたのはヘレンミレンのKGB姿という映画ファンは少なくないでしょ?このメガネルックス、最高。衣装さんナイス過ぎる。徹頭徹尾冷酷な上司を淡々と演じており、やり過ぎないさじ加減はさすが。上司にブス呼ばわりされつつ、ここまでのし上がってきた彼女の物語が見たい。