再見。本作の白眉はダメ家族一人ひとりが極限状態で腹をくくった時のカット。ポンジュノはそこに命賭けてると断言したいくらい。ペドゥナの弓を引くカットも痺れるけど私はピョン・ヒボン演じるダメ親父が最期を悟りお前らは逃げろとするあのカットが最高に好き。
いわゆる負け組と言われる人たちが最後に見せる尊い精神性。その瞬間をこれでもかとカッコよく見せる。そこにポンジュノの映画作家としての気概が現れていると思う。それにしてもコンテイジョン同様コロナ禍に見ると感慨深い。前者は感染拡大の恐怖に迫る1本ならこちらは徹底的な政治風刺として傑作。
本作は在韓米軍を下敷きにしているが(しかもウィルスは●●だったというオチ)、今の日本政府の施策を見れば、本作に匹敵するブラックコメディを日本でも作れるはずだ。アフターコロナ時代に日本人監督にこういう骨身にしみるエンタメを作って欲しいと切に願う。