Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

THIS IS ENGLAND

2010-07-28 | 外国映画(た行)
★★★★☆ 2008年/イギリス 監督/シェーン・メドウズ
「ABOUT A BOY」

1980年代前半のイギリス。父親をフォークランド紛争で亡くした少年ショーン。ベルボトムを履いて登校しダサイといじめられたある日、彼を慰め、仲間に誘ってくれたのはスキンヘッズだった…。

予備知識なしで見たのですが、とても良かったです。イギリスの労働者階級の若者が暴れまくる映画かと思ったんですけど、全然違いました。これは、イギリスという国を通じて描く孤独な少年の物語。他人に認められたい、孤独を埋めたい。切なる思いであるグループに入るのだけど、ひとりの青年の出現により、予期せぬ事態に巻き込まれていく。パキスタン人を追い出せ!と息巻くショーンは、銃を振り回してブッシュを殺せと言うアフガンの少年とまるで同じ。ピュアな子供ほど、大人の影響をまともに受けてしまう。子供の無邪気さがとても痛々しいのです。

グループを政治組織に仕立ててしまうコンボ。このキャラクターの歪み具合が非常に巧いです。見るからに危険な奴ということではなく、奇妙にずれている感じ。仲間内のパーティーに突然現れる登場シーンも非常に良くできていて、誰も彼を受け入れられないむずかゆいムードが漂っているんですね。コンボの歪み具合に多くの青年達は拒否反応を示しますが、ショーンは違った。父の死にトラウマを持つショーンにとって「おまえの親爺の死を無駄にしないために」と言うのはこの上ない殺し文句だったんです。

スキンヘッズは丸坊主にチェックのボタンダウン、ジーンズたくしあげてサスペンダー。そして足元はドクター・マーチンのレッドブーツ!ドクター・マーチン、私の青春時代にも流行ったなあ。こっちじゃえらく適当なファッションに合わせてたけど。ボーイ・ジョージそっくりな女の子も登場。ストーリーは暗いですが、忠実に再現された当時の文化やファッションが目を楽しませてくれ、とても見応えがありました。

ラスベガスをぶっつぶせ

2010-07-23 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★ 2007年/アメリカ 監督/ロバート・ルケティック
「人間ドラマの面白さがない」


脚本がダメですよね。心理描写が全然書けてない。MITの教授でありながら、ギャンブルの元締めをするミッキーの葛藤なんてまったく書かれないもんね。ミッキーの不正を追い続けていた警備員とか、オタク系親友との確執とか、中途半端な人間ドラマを入れてしまったがために、ギャンブルのスリリングさが損なわれてしまった。むしろ、ドカンと儲けて、痛快、痛快!という展開にしてしまった方が作品としてはまとまったんじゃないだろうか。

あと、この手の映画を観てつくづく思うのは、やっぱり私には「アメリカ人のイケてる、イケてない感覚」がサッパリわからんってこと。数学は天才だけどイケてない男子のイケてなさも、学園が注目する金髪美人のイケてる感じも、全く共感できない。だから、なおさらドラマとしての面白さも感じ取れないんだと思う。カウンティングは違法じゃないのに、結局警備員にヤキ入れられてしまうという基本的なわからなさも手伝って、かなり消化不良な1本。