Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画

2021-01-31 | 外国映画(さ行)
★★ 2020年/アメリカ 監督/ジェイソン・ウォリナー

Qアノンのリアルライフ、ジュリアーニのリアルセクハラ。この手法だからこそ撮れる衝撃映像だが、偽りの姿と嘘が前提にあるこの手法がどうしても好きになれない。正攻法じゃ真実はたやすく見えないことは重々わかっているのだけど、やっぱり後味悪い。

国家が破産する日

2021-01-29 | 外国映画(か行)
★★★★☆ 2018年/韓国 チェ・グクヒ

1997年韓国で起きた通貨危機を描く。正義を貫く銀行人、腹黒い官僚、一攫千金を狙う金融マン、工場経営の庶民。物語の単なる駒ではなく、それぞれが1人の人間として立ち上る演出がすばらしい。白眉は20年後のエピローグ。最後の1分まで批評性を追求する姿勢に打ちのめされた。傑作。

庶民を切り捨て金持ちを助ける政府。ここで描かれる社会構造は日本とほぼ同じだが、このジャンルの映画では日本と韓国は途轍もない差がついてしまったと思わされる。韓国の政治や金融に詳しくなくても誰でも楽しめる饒舌な語り口、役者陣の力量、政治や社会に対する批評性。何もかも完璧だ。特に若い女性がハン部長の元に不正を訴えに来るという展開が胸熱。

ブレイン・ゲーム

2021-01-27 | 外国映画(は行)
★★★☆ 2015年/アメリカ 監督/アルフォンソ・ポヤート

互いに予知能力を持つアンソニーホプキンスとコリンファレルが善悪に分かれて一騎打ち。レクターのセルフオマージュかとワクワクもしたが、殺人理由が手垢がついたネタだけに期待しすぎは禁物。このジャンルは何をやってもセブンや羊たちの二番煎じになりがち。差別化が難しいね。

コロンバス

2021-01-27 | 外国映画(か行)
★★★ 2017年/アメリカ 監督/コゴナダ

建築好きなので期待モリモリで観賞。序盤こそモダニズム建築の決まった構図に興奮したものの後半全くノレず。監督は小津ファンらしいがあの静かな佇まい効果は小津特有の毒あってこそと個人的に思っている。本作、年の差男女のうっすらした悲哀はあるが、薄味すぎて自分には合わなかった。まさかの眠気に襲われる。

エクストリーム・ジョブ

2021-01-25 | 外国映画(あ行)
★★★☆ 2019年/韓国 監督/イ・ビョンホン

落ちこぼれ麻薬捜査班、張り込みのため始めたチキン屋が大盛況。こんなはずじゃねえの笑いのツボ満載、かつアクションキレキレの捕物帳。80年代のアメリカコップ物みたいで、このノリ無性に懐かしい。ボンクラ野郎の寄せ集め感が楽しく、全方位が楽しめるアクション痛快作。
実は俺たち、強かったんです。強引なラストもお約束ですな。

追憶

2021-01-24 | 外国映画(た行)
★★★★★ 1973年/アメリカ 監督/シドニー・ポラック

左翼思想のユダヤ人のケイティ、キャンパスの花形でセレブなハベル。正反対だからこそ惹かれ合った男女の数十年に及ぶ愛の物語。赤狩りの時代。女は愛より自分の正義を選んだ。別れと再会。あの頃のように、愛しそうにハベルの前髪をかきあげるケイティ。号泣。不朽の名作。

美しい人と政治信条に生きる人。前者を女性で作りがちだが、男女逆転しているのが肝。主張の強いケイティだがその揺るぎなさにハベルは惹かれた。そしてレッドフォード美しすぎる。美しい男を狂おしく求める女の悲劇。そして含蓄に富むラストシーン。いろんな物を諦め輝きを失ったのはハベルでは。辛い。


僕たちは希望という名の列車に乗った

2021-01-23 | 外国映画(は行)
★★★★ 2018年/ドイツ 監督/ラース・クラウメ

冷戦期の東ドイツ。ハンガリー騒乱の死者のため黙祷を捧げた高校生たちは反逆思想を持つと当局から睨まれ、大事件へと発展する。高校生が主人公だが、大戦を経験した親たち、それぞれの立場を描くことでさらに作品に深みが増している。予想以上の秀作。

首謀者に責任を押し付けるため密告を奨励するソ連のやり方はゾッとする。高校生相手でも容赦がない。そして彼らの親たちもナチ政権下で生き延びるための選択をして今がある。スウィングキッズ同様、ファッキンイデオロギーだ。だからこそ邦題の「西側=希望」という言葉選びが安直に思えて仕方ない。

トマホーク ガンマンvs食人族

2021-01-20 | 外国映画(た行)
★★★★ 2015年/アメリカ 監督/S・クレイグ・ザラー

食人族にさらわれた村人を救うため荒野を追跡する4人の男。土まみれになり、馬を盗まれ、仲違いしたりしてほうほうの体で敵地に向かう。ジョーク飛び交うダラダラ道程は笑いも誘うオフビート感、かと思いきやの凄まじいゴア描写。この独特の緩急ハマる人がいるのわかる。

しかーし!西部劇とゴア描写という自分にとって最も苦手な2ジャンルの掛け合わせ…食人族による殺戮シーンは怖すぎた。半分目をつぶりながらラスト30分を耐え忍ぶ。やはり無理するもんじゃないな…。サスペンスもホラーも好物だが、人体破壊はどうしてもダメなのでした…

ウィーアーリトルゾンビーズ

2021-01-18 | 日本映画(あ行)
★★★★☆ 2019年/日本 監督/長久允

噂に違わぬ快作。ゲーム仕立ての超ポップな描写。隅々まで監督の嗜好が行き亘りこれぞ長編デビュー作の疾走感。子供を食い物にする消費社会のシニカル描写もいいが、何と言っても不幸のどん底を醒めた目で捉える子供の描写が唯一無二。新しい才能に触れ久しぶりに興奮。



ローサは密告された

2021-01-16 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★ 2016年/フィリピン 監督/ブリランテ・メンドーサ

スラム街の喧騒、映像からも伝わるむんとした湿気。そして突然警察が踏み込む。ドキュメンタリーのような緊張感。次々と無謀な要求を出す腐った警官ども。両親釈放のため奔走する子供たち。フィリピンだけじゃない。市井の人々が金と権力に踏みつけられるあちこちの社会の縮図。

岬の兄妹

2021-01-15 | 日本映画(ま行)
★★★☆ 2018年/日本 監督/片山慎三

自閉症の妹に売春をさせ生計を立てる兄。今日を生き延びるための毎日。貧困の底、どん詰まりに見えるのは観賞者の第三者的視点。彼らは必死に生きている。食らいつくように。その姿は滑稽だが愛おしい。生きるって辛いし、家族はほっとけない。生きるって面倒だな、ほんと。



コブラ会 シーズン3

2021-01-14 | TVドラマ(海外)
脚本のユルさも持ち味の一つだったけど、シーズン3はユルすぎ、ご都合過ぎで終始ノレず。親同士の確執にひたすら子どもたちが振り回される。とにかく大人(先生)がいつまでも過去にこだわり続ける描写が退屈。やたらとすぐに殴り合うし、これじゃ空手道じゃなくケンカ道。

翔んだカップル

2021-01-13 | 日本映画(た行)
★★★☆ 1980年/日本 監督/相米慎二

相米慎二デビュー作。同じくデビューしたての薬師丸・鶴見コンビの素人くさい台詞まわしが、図らずも同居してしまった高校生の浮き足立った日常とうまく呼応している。対して尾美としのり・石原真理子の芝居上手なこと。この2人のうまさあっての、4人のバランスの妙なんだなあ。

お引越しや台風クラブに比べると個人的な好みは低めなのだが、薬師丸ひろ子のみずみずしい輝きは今も色褪せない。つっけんどんで、無防備で、おしゃまで。何と言ってもオーバーオール姿が可愛い。しかし、自転車での坂道くだりからの壁激突は今見ても冷や冷やする。

ファーゴ シーズン3

2021-01-12 | TVドラマ(海外)
ボタンの掛け違いで転落する凡人、絶対的な悪人と善人。このコントラストが持ち味のドラマだけどシーズン3はどれもキャラ立ちが弱い。せっかくユアンマクレガーが双子にチャレンジをしているのだから、片方を一番の悪役設定にすれば良かったなあ。S1S2に比べるとかなり物足りない。

真実

2021-01-11 | 外国映画(さ行)
★★★☆ 2019年/日本・フランス 監督/是枝裕和

ドヌーブの実人生と映画内の役がオーバーラップする…のが果たして映画としての面白みになるのだろうか。母と娘の関係性を描く本筋にファビエンヌが撮影中の映画の物語が入れ子構造のように重なる。ここに絞った方が良かったと感じる。実名出しのあれこれが雑音に感じた。
イーサン・ホークなんてすごい無駄遣いじゃない?残念。