Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語

2020-06-30 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 2019年/アメリカ 監督/グレタ・ガーウィグ

自分の生き方は自分で選ぼう。そしてどの選択もあなたが選んだ生き方だから輝いている。全ての女性にふり注ぐ賛歌であり、女性たちの背中を押す応援歌。結婚とは。自立とは。押し付けられるのではなく、問いかけ続けよう。いざゆかん、前へ。

結婚が女の幸せなんて全く思ってやしない。でも恋の成就にも一喜一憂しちゃうこのアンビバレンツな気持ち! そんな悶えもまあるく収め、若草物語、続若草物語、そしてオルコット自身の物語を融合させる見事な脚本。イケ散らかしてるシャラメも眼福。自粛明け一発目が本作で本当に良かった。

皆殺しの天使 

2020-06-26 | 外国映画(ま行)
★★★☆ 1962年/メキシコ 監督/ルイス・ブニュエル

ブニュエル初期の痛烈ブラックコメディ。晩餐会を楽しむ貴族たち。なぜか帰る方法を忘れ(!)客間から出られなくなる。罵り合い、マトモな打開策も出せず、死人まで出るのにブルジョワたちは思考停止。笑って見てたけど、現代日本人もこんなもんじゃないのと背筋が寒くなってくる。

警察が屋敷を取り囲むが家には入れない。(ちなみに鍵はかかっていないし、バリケードが張ってあるわけでもありません)そして、貴族が「帰る」という概念を思い出すというシュールすぎるオチ。よくもまあ、こんな話を思いつくもんですわ。さすがブニュエル。

ピーキー・ブラインダーズ S4

2020-06-26 | TVドラマ(海外)
これほどケレン味たっぷり映像の連打を昨今見たことが無い。全てのエピソードが007の後半60分ごとく、策略と駆け引き、アクションのダイナミズムに溢れている。トミーの策士ぶりと言ったら!裏をかきまくる脚本に脱帽。映像にも本にも大いに酔いました。最高of最高。

S4よりオスカー俳優エイドリアンブロディが参戦。トム・ハーディとのタイマンシーンが痺れるぅ。煙草を吸う、車に乗る、銃を撃つ、酒を飲む。敢えてこの時代に男臭さ全開。どのシーンもカッコ良すぎて「よ!待ってました!」1920代のファッションもめちゃくちゃステキ。やーもうマジで大好き。

世界は3で出来ている

2020-06-24 | TVドラマ(日本)
ビジュアルを変える姑息な手は使わず、ごく普通の青年を見事に3人演じ分け。目線の位置、セリフに対するリアクション。高度なテクニックを自然にこなす。さすが我らが遣都。微妙に箸の持ち方を変えていたの湖民は気づいている。とにかくもっと三雄ください。

東京ラブストーリー2020

2020-06-24 | TVドラマ(日本)
令和だからこそ、自分に正直に自由に生きるリカを主人公にすえてリブートするべき。令和でもリカという存在はカンチが大人の階段上るための通過儀礼。これじゃあリカが浮かばれない。やたらメロウな劇伴、男女の周りをぐるぐる回るカメラ。もっと新しいものが見たかった。

さとみが相変わらず、無垢のフリをしたビッチなんだよねー。原作のさとみはもっとサバサバしてるし。こちらも令和の時代を生きる女性として新解釈を見せて欲しかった。みんなで空を見上げてリカを想う、なんてさ。リカはあんたらの思い出作りに生きとるんとちゃうで。

13th -憲法修正第13条-

2020-06-24 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2016年/アメリカ 監督/エバ・デュバーネイ

人種差別と大量投獄。現代アメリカでは黒人問題がシステム化され、歯止めの効かない悪循環を生んでいる。発端は国民に自由を保証する13条に追加されたたった1行の「犯罪者は適用外」。一度修正した憲法も一度作ったシステムも元に戻すのは至難の業だ。断じて他人事ではない。

どのNetlixドキュメンタリーを見ても思うのだが、企画に合った音楽やわかりやすいインフォグラフィックを用いて、問題に詳しくない人も飽きないよう編集されていることに感心する。これらがなければただの証言集になり、退屈な人も出てくるはず。伝える仕事をする人にはとても勉強になると思う。

ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから

2020-06-24 | 外国映画(は行)
★★★★ 2020年/アメリカ 監督/アリス・ウー

田舎町に暮らす高校生が本当の自分を認め一歩を踏み出すまでを描いた秀作。孤独な文学少女エリーが紡ぎ出す、繊細で美しい文章に魅了された。青春映画であり、本や映画、絵画がいかに人生の支えとなるかを伝える芸術賛歌映画でもあるところがすばらしい。

冒頭「恋愛映画ではない」と言い切るあたり、制作者の作品への確固とした自信を感じる。中国系マイノリティーが主人公であることやプラトンやカズオイシグロの引用など、大衆受けの青春映画では難しい設定を誰もが感情移入できる作品としてリリースできるNetflix。トップランナーの貫禄。

gifted ギフテッド

2020-06-23 | 外国映画(か行)
★★★☆ 2017年/アメリカ 監督/マーク・ウェブ

子供らしくのびのび育てるべきか、才能を伸ばせる環境で育てるべきか。誰でも感情移入できる話だが残念なのは後者を進める人物たちがいかにも記号的悪人ばかりということ。これではハナから結論は出ている。英才教育にもいいところはある。そこをキチンと見せてこその葛藤だろう。

ただし数学の天才ぶりと7歳らしい無邪気さ。その両方を魅力的に演じるマッケンナ・グレイスの演技には脱帽。「アイトーニャ」では負けん気の強いトーニャの少女時代を演じている。あの反抗的な目力はなかなかのもの。大物の予感。

エレファント・ソング

2020-06-21 | 外国映画(あ行)
★★★ 2014年/アメリカ 監督/シャルル・ビナメ

密室会話劇のスリリングさ皆無。精神科医が患者の言うこと全部鵜呑みにして翻弄されるなんてあり得ない。グザヴィエドランが精神病患者を演じるというのでそそられたが、実に残念な出来栄え。なかなか渋いキャスティングなのにもったいない。ドランは美しいけどさ。

ザ・バニシング -消失-

2020-06-20 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 1988年/オランダ・フランス 監督/ジョルジュ・シュルイツァー

サイコキラーの心の闇が怖いのか。彼女の最期が怖いのか。伝説のサイコサスペンスと聞いて、いろいろ想像しながら身構えて見たが…。思ってもいない斜め上から来たよ!一番恐ろしいのは知りたい気持ち…。これは後からじわじわ来る。しばらくコーヒー飲むたび身震いしそう。

愛する人が突然いなくなるという恐怖は誰にでも想像できるので、余計にこの展開が怖い。特に子育てしてる人はそうじゃないだろうか?高速のSAで1人でトイレに行く息子を見て心がざわついたことは何度もある。失った側の人間の内面に迫った問題作。

ファースト・マン

2020-06-18 | 外国映画(は行)
★★★☆ 2018年/アメリカ 監督/デミアン・チャゼル

月面に立った男の話だが華々しさは全くない。 男は娘の死という個人的な不幸と人類の壮大な夢というギャップに苦しみ己の殻に閉じ困ってしまう。まさに壮大な引きこもり。 遥かなる月への旅路は男が渇望した死への道か。宇宙の圧倒的な孤独こそが彼を慰められる唯一の存在だったのだろう。

マーベラス・ミセス・メイゼル シーズン3

2020-06-18 | 外国映画(ま行)
リッチ!リッチ!リッチ! セットも美術も音楽もセリフも目に入るもの耳に入るもの全部がリッチ! フェミニズムの文脈を追いながら、1950年代のエンタメ界をゴージャスに見せてくれる。なんと豊かな世界。一瞬の通行人まで行き届く衣装や身なりが完璧。

コメディアンとして認められたミッジはベガスやフロリダへ巡業に。ほんと美術が凄くて圧倒される。黒人歌手シャイがミッジと同じホテルに泊まれないのはグリーンブック見てたからわかる。ミッジの衣装も相変わらずどれもこれもステキだし、こんな楽しいドラマ他にはないね。シーズン4が待ち遠しい。

東京ラブストーリー2020

2020-06-18 | TVドラマ(日本)
令和だからこそ、自分に正直に自由に生きるリカを主人公にすえてリブートするべき。令和でもリカという存在はカンチが大人の階段上るための通過儀礼。これじゃあリカが浮かばれない。やたらメロウな劇伴、男女の周りをぐるぐる回るカメラ。もっと新しいものが見たかった。

さとみが相変わらず、無垢のフリをしたビッチなんだよねー。原作のさとみはもっとサバサバしてるし。こちらも令和の時代を生きる女性として新解釈を見せて欲しかった。みんなで空を見上げてリカを想う、なんてさ。リカはあんたらの思い出作りに生きとるんとちゃうで。


ザ・バニシング 消失

2020-06-18 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2019年/アメリカ 監督/

サイコキラーの心の闇が怖いのか。彼女の最期が怖いのか。伝説のサイコサスペンスと聞いて、いろいろ想像しながら身構えて見たが…。思ってもいない斜め上から来たよ!一番恐ろしいのは知りたい気持ち…。これは後からじわじわ来る。しばらくコーヒー飲むたび身震いしそう。

愛する人が突然いなくなるという恐怖は誰にでも想像できるので、余計にこの展開が怖い。特に子育てしてる人はそうじゃないだろうか?高速のSAで1人でトイレに行く息子を見て心がざわついたことは何度もある。失った側の人間の内面に迫った問題作。



ハッピー・デス・デイ 2U

2020-06-15 | 外国映画(は行)
★★★★ 2019年/アメリカ 監督/クリストファー・ランドン

とりあえず見とくか…から「やられた!」の嬉しみ。いやあ、よくできてる。前作の毎日ループの法則や人間関係も活かして脚本がレベルアップ。ホラー色は薄れたがSF青春物としての良作に。バック・トゥ・ザ・フューチャーの現代版リブートと言っても過言ナシ。続けて見るべし

自分の人生は自分で決める。「決断」というところにフォーカスしているのが何と言ってもすばらしい。しかも、それを行うのが若い女性だということが。これだけ酷い状況に陥っても、前向きに、過去を振り返らず道を拓く。もちろん死ぬたびに笑えるんだけど。ガールズムービーとしてもオススメしたい。