Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

2017年ベスト10

2018-01-01 | 映画雑感
昨年のベスト10

1. 『哭声/コクソン』
不条理映画が好きなので、ドンピシャでやられた。作品の持つ強度が凄い。フィンチャー作品のような鮮烈な映像に韓国ならではのバイオレンス、そして宗教哲学などなど詰め込みまくり。しかも、ラストは藪の中。いろんな伏線が張ってあって、いくつもの解答が得られる構造になっているのもすばらしい。これから何度も見返したくなりそう。

2. 『ELLE エル』
2017は女性映画の年。そんな中、正統派とはまるで言えないフェミニズム映画として異彩を放っていた本作。日頃こんな風に行動できたらいいのに、と思っていることをすべてユペール様が実現してくれました。ありがたや、ありがたや。

3. 『ブレードランナー2049』
Kの孤独にスポットが当てられとてもシンプルな物語になっているので、彼の自分を探す物語に没入してしまった。いろいろツッコミどころがあるのは承知なのですが、ビルヌーブが作り上げた世界観に共感。記憶を巡る物語は面白い。あとは音楽。音楽が最高でした。

4. 『メッセージ』
先に原作を読んでいたので表象文字を映像でどう表現するのかと思っていましたけど、予想の遥か上で唸る。時間という概念をどう観客に伝えるのかという難しいテーマを、人々に広く理解できるように見せたところがすばらしい。

5. 『彼女がその名を知らない鳥たち』
今年邦画はあまり見れていないが断トツに良かった。蒼井優はここのところ同じような役ばかりだが、本作は図抜けていた。松坂桃李が印象的だが、阿部サダオも竹野内豊も良かった。時折挟み込まれる幻想的なシーンやエロティックなベッドシーンなど白石監督の演出も良かった。

6. 『お嬢さん』
韓国人のパクチャヌクが日本美術と日本のエロ変態文化に真っ向から取り組んでいる。そこがすばらしかった。元はイギリス原作の本を独自に解釈し、三部構成のどんでん返しとして再構築している。かなりレベルの高い作品。

7. 『ドリーム』
日頃はこうしたドストレートな感動作には鼻じらんでしまうひねくれ者だが、久しぶりに素直に感動。日の当たらない人にスポットを当てることはとても大事。高い目標を持って強く生きる3人の女性に心から拍手を贈りたくなった。

8. 『マンチェスターバイザシー』
田舎町の寒々しいロングショットは大好物で、これは風景がすごく良かった映画。全編地味な映画で、鬱々とする主人公になかなか感情移入できないが、彼を地獄に突き落とした出来事が判明してからはもう涙を堪えるのが大変だった。

9. 『沈黙』
辛い物語だが、その美術やセット含め壮大な時代劇として堪能。キャストもみな熱演。特に塚本晋也がすばらしかった。ハリウッドが本気で日本の時代劇に取り組むとこんなにスケールでかい絵作りができるんだなー。

10. 『女神の見えざる手』
「ハウスオブカード」でアメリカ政治劇にハマってたのでピッタリのタイミング。主人公のジェシカ・チャスティンがめちゃくちゃカッコ良かった。ほぼ政治の駆け引きのみでしゃべくり倒す2時間。それでエンタメとして面白いってのが素晴らしい。