★★★★ 1966年/アメリカ 監督/オットー・プレミンジャー
保育園に預けたはずの我が子が消えた。しかも、関係者は誰もその子を見ていないという。元ネタバルカン超特急と違うのは、これが母子ということ。「うちの子がいない!」と叫ぶ母の姿は、老女を見たと言い張る娘よりも痛々しい。また、主演のキャロル・リンレーが若々しく、父親についても多くを語らないため、ますますアンはどこかおかしいのでは?と思わされる。真相は途中でうすうす勘づいてしまうのだけど、すべてが明らかになるブランコのシーンは今見てもぞっとする。
★★★★☆ 2018年/アメリカ 監督/スパイク・リー
見応え抜群。コメディ演出も多いがスパイク・リーの怒りがスクリーンからはみ出るほどに満ちた力作。実話に基づくと出る割には原作とは年代を変えるなど、あからさまな脚色も多い。ラストのニュース映像含め、それらの過剰な脚色をやり過ぎと感じて醒める人も多いようだけど、私はこのストレートな演出こそスパイクリーの作家性だと思う。これほどまでに黒人差別を強調しなければならないのが現代のアメリカだということ。そのやりきれなさに共感する。70年代のブラックカルチャーがとても魅力的。あのクラブに行きたいなあ。そして、アフロヘアーに丸メガネのローラハリアーがめちゃくちゃかわいい!惜しむらくはユダヤ人のアダムサンドラーの内面描写が物足りないことかなあ。でも、ニュース映像のあとのエンディングがプリンスで再びガツンとやられた。
★★ 1972年/日本 監督/村川透
何せ松田優作がカッコいいハードボイルドの傑作というのが巷の評判ではあるが、女の飲み物に薬をもってシャブ中にしておいて「あなたのことが忘れられない」と言わせる脚本が胸くそ悪い。これも時代ということなのだろうか。その後も何も悪い事してない女を殴るシーンがあり、ギブアップ。話も荒唐無稽でマンガか!と突っ込みどころ満載。成田三樹夫や岸田森などの個性派俳優の演技を怪演と呼ぶこともできるかもしれないが、私にはマチズモ礼賛の男目線の都合のいい物語としか思えなかった。勘弁してくれ案件。