Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ストレンジャーシングス

2017-10-31 | TVドラマ(海外)
(Netflix)

12歳の少年が突然失踪、彼の行方を追う仲間は、
小さな町に隠された恐ろしい事実に近づいていく。
SF版スタンドバイミーか少年版未知との遭遇か。
様々なSF作品のエッセンスを詰め込みながら、少年少女の友情を築く良作。
子どもたちのキャラが立ってるのがいいね。
中でも超能力少女イレブンの存在感が秀逸。

アウトレイジ 最終章

2017-10-29 | 日本映画(あ行)
★★★★ 2017年/日本 監督/北野武

(映画館)

ピカピカの黒塗りの車が映るだけで感じるこの恍惚感は何だろう。
そしてスクリーンの下に錘が付いているのかのような重厚感。
物語はビヨンドで終わっており、最終章は老人たちの諦念を映し出す看取り映画だ。
つまらないという感想も多いようだがそれもわかる。
ピエール瀧はミスキャストだし、大杉蓮の死に様もありきたり。
それでも、作品から漂う絶望感や死の匂いは北野映画でしか味わえないものであり、
それをスクリーンで体感することにこの上ない喜びを感じる。
アウトレイジ1作目で大衆娯楽に舵切ったが、ここにきていつもの北野映画でシリーズを終えた。
冒頭の釣りシーンからして、北野ファンは「ソナチネ」を思い出しただろう。
椎名桔平、加瀬亮に続く衝撃死がなかったのはやや残念。
とにかく、本シリーズの最大の貢献者は音楽の鈴木慶一だとしつこく主張したい。

マインド・ハンター

2017-10-28 | TVドラマ(海外)
(Netflix)★★★★★

潤沢な資金を元にフィンチャー節が炸裂。
「セブン」+「ゾディアック」+「羊たちの沈黙」に大興奮。
役者もすばらしいし、演出脚本の巧みさは今年の映像作品の断トツNo.1。
音楽やタイポグラフィも完璧。5億点ですよ、5億点。

サイコパス物であり、犯罪ミステリーであり、バディ物であり、FBI内部物であり、恋愛物である。
なんとまあ、豊潤なドラマよ!
とにかく最初から最後まで最高にカッコいい。
悲惨な殺人現場や卑猥な言葉の連発は、まさにネットドラマじゃないと規制がかかって実現できないでしょう。
で、シーズン2が1年後ですと!?待てん!待てんよ!(泣)

セトウツミ

2017-10-27 | 日本映画(さ行)
★★★☆ 2016年/日本 監督/大森立嗣

(Amazonプライム)

河川敷で延々と続く大阪の高校生のボヤキ漫才。
ふたりの背景に移る通行人など、大森立嗣の演出も細部まで行き届いていて良い。
何より関西弁ってええなあと思わされ、関西人としてはほっこりした気分にさせてもらえる。
そして、菅田将暉は何をやらせてもそつなくこなす。すばらしい。

ロブスター

2017-10-26 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★ 2015年/アイルランド・イギリス・ギリシャ・フランス・オランダ・アメリカ 監督/ヨルゴス・ランティモス

(WOWOW)

独身者は45日以内に相手を見つけないと動物に変えられる。
人間社会の愚かさをブラックユーモアたっぷりに物語る奇想天外SF。
知的な作品かと思いきや、メイドが股間にお尻スリスリとか、なんじゃこれ!の連発。
寒々しい風景に展開するこのむずがゆさがいかにもヨーロッパ。
ありがとうトニエルドマン」とか「フレンチアルプスで起きたこと」とかに似てるよねえ。
日本人の感性ではどう付いていけばいいのか。ラストもぶっ飛んでます。
でも、後になっていろいろ思い出して楽しめる。
それにしても、コリンファレルとかレイチェルワイズとかレアセドゥとか、なんでこんな豪華キャストなの。

ハノーバー高校落書き事件簿

2017-10-25 | 外国映画(は行)
(Netflix)★★★★

教員26名の車にち○この落書きがされた。
犯人とされるディランは無実を主張。
同級生が真相を探るべくカメラを片手に捜査を始める…。

多くの登場人物を操る緻密な脚本、毎回にわたるどんでん返し、
そして、最終的には今村昌平の「人間蒸発」のごとく「撮るとは何か」を観客に突きつける。
クソバカバカしい話を爆笑しながら眺めていると凄い所へ連れて行かれる。
モキュメンタリー最前線のとんでもない怪作、かつNetflixのチャレンジ精神がみなぎる問題作。
モキュメンタリーもスクールカーストも興味ないジャンルだが、大いに関心した。

ドントブリーズ

2017-10-24 | 外国映画(た行)
★★★☆ 2016年/アメリカ 監督/フェデ・アルバレス

(WOWOW)

楽勝と思って強盗に入った家の爺さんは実は…。
デトロイトの荒廃した街の描写がいい。
行き場のない若者の焦燥感もリアル。
だが、一方爺さんが実は家で●●をしていた、
という筋書きがどうも嘘くさくて引っかかる。
でも、室内で逃げ惑う描写は怖かった。女の子、タフだねえ。

子連れ狼 死に風に向う乳母車

2017-10-23 | 日本映画(か行)
★★★★ 1972年/日本 監督/三隅研次

(WOWOW)

この世界に慣れてきたからかも知れんがwこれが一番好きかも。
謎の拷問「ぶりぶり」に爆笑、溺れたふりで敵を騙す大五郎に猛ツッコミ、
ラストの刈谷藩200人VS拝一刀の大殺陣に興奮。
乳母車がマシンガンだよ!
加藤剛の生首主観のカメラワークにも驚き!
すげえバカバカしくても、役者もカメラも演出もすべてが超一流だと凄い作品になるんだなあ。
こういう勢いのある邦画はもう出てこないよなあと思ってしまう。
何せ、立ち回りのできる役者がおらんもんなあ。
浜木綿子も粋な姉貴でごぜーやした.

子連れ狼 三途の川の乳母車

2017-10-21 | 日本映画(か行)
★★★★ 1972年/日本 監督/三隅研次

(WOWOW)

切り株スプラッタ時代劇として世界中で名を轟かせた…からこそ、避けてたわけだけども。
まあ凄まじい。のっけから頭真っ二つからのジャンピング攻撃!
大五郎の乳母車がしゅぱしゅぱ足を斬る!
松尾嘉代の高速後ずさりに爆笑。
で、鳥取砂丘での若山のくるりんぱに拍手。
タランティーノが影響を受けたってのも、そりゃそうだわなというインパクトですな。
最初から最後までノンストップのメッタ斬りで飽きさせないわけだけど、わたし音楽も好きだわ、このシリーズ。
ノリがいいし、西部劇みたいよね。


子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる

2017-10-20 | 日本映画(か行)
★★★★ 1972年/日本 監督/三隅研次

(WOWOW)

ぐはは。こりゃ面白い。
ケレン味というよりも破天荒、やり過ぎ、面白けりゃいいの炸裂。
冥府魔道って何dayo!乳母車が戦闘機なの!?などツッコミまくり。
バカもほどほどに演出と若山富三郎のキレキレの殺陣。
このすさまじい対極に圧倒される前から気になってたけど
えらいスプラッター物だと聞いており避けてたシリーズ。
町山×春日対談でいい年したオッサンがキャッキャ嬉しそうに語っているのを見て見始めたが、まあそれも納得の面白さ。

太陽

2017-10-19 | 日本映画(た行)
★★★ 2016年/日本 監督/入江悠

(WOWOW)

「散歩する侵略者」がノレなかった同じ劇団イキウメ原作。
入江ならではの長回しもあるが、やはり台詞回しなどで元ネタ舞台感を感じられてこれまたノレず。
知能も体力も劣る人類キュリオを演じる神木隆之介がミスキャストのように感じる。
また近未来のSF世界観ももう少し作り込みが欲しい。
根本的に劇団イキウメの世界観が自分の好みとは合わないんだな。
わかりやす過ぎて薄く感じるというか。そのまま映像化すると物語がチープになる。
黒沢清のようにもっと映像で観念的なものを見せないと難しいんでしょう。それでも私はノレなかったんだけど。
そして、結局どこがクライマックスだったんだろうという物足りなさ。

三度目の殺人

2017-10-18 | 日本映画(さ行)
★★★★ 2017年/日本 監督/是枝裕和

(映画館)

「裁く」とは何かを問いかける哲学的作品。
いつもの是枝風とは一線を画しており、まるでフランス映画のよう。
十字架のモチーフや苦しむ人の思いを忖度して罪を犯すということから、役所は神なのかと思わされる。
神に触れ罪に気づいた福山は最後は十字架に架けられるのか。
どうしても犯人は誰か、動機は何かというところに観客の思いは行ってしまうが、
本作はそれは関係ないのだと気づかされるターニングポイント、及び、物語の誘導が弱いように感じる。
それはつまり、役所の存在そのものにもっと光をあてないといけないわけだが、
そうなるには「スター福山の起用」が邪魔をしている。
福山の役割は「凶悪」における山田孝之が近い。
悪(本作では役所の不条理な行動)を際立たせる狂言回しであるが、
確実に自分も狂わされていく様子を内面から演技で見せなければならなかったが、福山には荷が重かったか。
例えば、ジャック・オーディアールなんかがリメイクすればもっとわかりやすい作品になるかもしれない 。

パターソン

2017-10-17 | 外国映画(は行)
★★★★ 2017年/アメリカ 監督/ギレルモ・デル・トロ

(映画館)

同じ仕事を毎日送るその平凡さの中にこそ幸福がある。
というわけだが、何せ妻がキュート過ぎて「十分リア充だろ!」のツッコミ入ること間違いなし。
とはいえ、その平凡さの中にある美しさ、愛しさを詩にしたためるというパターソンの生き方には共感。じんわり心が温かくなる良作。
ベッドサイドにパターソンが軍服を着ている(しかもたくさん勲章がついている)写真があることや、
インド系のおちゃめなこの妻とどうやって知り合ったんだろう?などミステリアスな部分も多い。
が、そこも本作の魅力だ。最後の永瀬正敏の存在も含めて。

ドリーム

2017-10-06 | 外国映画(た行)
★★★★☆ 2016年/アメリカ 監督/セオドア・メルフィ

(映画館)

冒頭シーンからもう泣く。
不当な扱いに腐らず努力を続け、暴力ではなく言葉を尽くして相手を動かし、
己の仕事をやり遂げる3人に心から感動。
その生き様がまた三者三様なのがいい。
オーソドックスな展開ではあるが、ド直球の感動作品を素直に楽しむべし。観るべし。

それにしても「ドリーム」というタイトルですよ。
これは、一体誰のどんな夢なのか全く意味不明。
すばらしい3人の科学者を描く作品に「ドリーム」という
ぼんやりしたタイトルを適当に付けるその知性のなさに、心の底からがっくりする。
作品への理解や敬意が全く感じられない邦題。

アメリカンヒストリーX

2017-10-05 | 外国映画(あ行)
★★★★ 1999年/アメリカ 監督/トニー・ケイ

(Amazonプライム)

消防士だった父を黒人に殺されネオナチに傾倒する若者をEノートンが熱演。
彼の演説が昨年の選挙時のトランプの演説とほとんど同じで背筋が凍る。
刑務所での日々で彼の考えも変わるのだが…。

20年前の作品だがまさに今のアメリカを描いたよう。
「絶望シネマ」という本にも掲載されていた作品で、後味の悪さもハンパなし。
主人公の差別意識は父が黒人に殺されたことだけではなく、実は…という脚本も素晴らしい。
本当に今のアメリカを見ているようで、この問題定義が何も好転していないことに恐ろしさを感じる。